「あぶない刑事」第5話「襲撃」は、シリーズ初期ならではの荒々しさと、人質事件特有の緊張感が強く刻まれた回である。
派手なアクションだけでなく、「人はどこまで追い詰められたら犯罪に手を染めるのか」、「誰が本当の悪なのか」という問いが物語の根底に流れている。
本記事では、
① あらすじの整理、② 事件構造の特徴、③ 中沢という男の悲劇性、④ 黒幕・島崎の存在感、⑤ 鷹山とユージの立ち位置
この5段階で、第5話の魅力を掘り下げていく。
「あぶない刑事」第5話「襲撃」
本牧埠頭に浮かぶ中沢😱
こういう浮かぶ◯体役やってみたい…というのが密かな願望🤫#あぶない刑事#BS日テレ pic.twitter.com/YqSZGVIpk3
— kyo73 (@i_kyo629) January 2, 2026
あぶない刑事、第5話襲撃を特集!:宝石店襲撃事件の“裏側”
物語は、元町の宝石店・石塚商会が襲撃されたという通報から始まる。
強盗事件と聞けば、誰もが大きな被害を想像するが、店主・石塚によれば、被害はほとんどなかったという。
この時点で、事件には違和感がある。
・なぜ襲撃したのに奪わなかったのか
・なぜ侵入だけして逃げたのか
捜査の結果、侵入の手口から、犯人は前科三犯の中沢であることが判明する。
そしてその日の夕方、港署に中沢本人から連絡が入る。
彼は、自分の犯行は“自発的なものではない”と語る。
ヤクザ・島崎に妻のヨリカを人質に取られ、命令されてやったのだと。
この瞬間、事件は単なる強盗未遂ではなく、人質事件へと変質する。
あぶない刑事5話「襲撃」の1シーン。
1986.11.5放送。
脚本・田部俊行 監督・長谷部安春 pic.twitter.com/VaergNt1IG— よしくま (@kumattana_1979) November 7, 2023
あぶない刑事、第5話襲撃を特集!:この回は「誰が犯人か」より「誰が支配しているか」
第5話の特徴は、犯人が最初から明らかである点にある。
中沢が実行犯であることは、早い段階で確定する。
しかし、本当に追うべき相手は中沢ではない。
・中沢は命令されている
・中沢は脅されている
・中沢は選択肢を奪われている
つまりこの回の焦点は、「犯人探し」ではなく、支配構造の解体にある。
誰が誰を操っているのか。
誰が誰の人生を人質に取っているのか。
ここに、この回の重さがある。
あぶない刑事、第5話襲撃を特集!:中沢という“典型的な負け犬”のリアルさ
中沢は前科三犯。
社会的には、すでに“信用できない人間”というラベルを貼られている存在だ。
だからこそ、彼の言葉は簡単に疑われる。
「本当に人質なんているのか?」
「嘘をついているだけではないのか?」
だがこの回の面白さは、彼が完全な悪人ではない点にある。
・彼は確かに犯罪者
・しかし同時に被害者でもある
・そして、極めて弱い人間
彼は、島崎に逆らえるだけの力を持っていない。
警察に完全に頼る勇気もない。
この“中途半端な弱さ”が、非常にリアルだ。
ヒーローでもなく、完全な悪でもない。
ただの、追い詰められた人間。
この描写があるからこそ、第5話は単なる勧善懲悪にならない。
あぶない刑事、第5話襲撃を特集!:島崎という“典型的な支配者”
この回の黒幕である島崎は、極めて分かりやすいタイプの悪だ。
・暴力で支配する
・人質を使う
・他人の人生を道具にする
彼にとって、人間は“使えるかどうか”でしかない。
ここで重要なのは、島崎が“直接手を汚さない”点だ。
彼は自分で襲撃をしない。
自分で警察の前に出ない。
すべてを中沢にやらせる。
つまり彼は、「罪を背負わせる」タイプの悪である。
この構図があるからこそ、事件は単なる犯罪ではなく、“支配の物語”になる。
あぶない刑事、第5話襲撃を特集!:鷹山とユージの役割の違い
第5話では、鷹山とユージの役割分担がはっきりしている。
鷹山は、
・状況に踏み込む
・感情で動く
・危険を恐れない
一方ユージは、
・冷静に状況を見る
・全体のバランスを取る
・鷹山を止める
このコンビネーションがあるからこそ、物語は破綻しない。
もし鷹山だけなら、暴走する。
もしユージだけなら、動けなくなる。
この“危うさと抑制”のバランスが、あぶデカの核であり、第5話でも強く発揮されている。
あぶない刑事、第5話襲撃を特集!:この回は「救われるかどうか」が最後まで分からない
多くの刑事ドラマでは、「人質は助かる」「犯人は捕まる」という安心感がある。
しかし第5話は、そうした予定調和を感じさせない。
・ヨリカは本当に無事なのか?
・中沢は裏切らないのか?
・島崎はどこまでやるのか?
すべてが不安定だ。
この“最後まで安心できない感覚”が、初期あぶデカの荒々しさを象徴している。
あぶない刑事、第5話襲撃を特集!:まとめ
第5話「襲撃」は、単なる強盗事件ではない。
それは、
・弱い人間が
・より強い悪に
・人生を人質に取られ
・犯罪をさせられる
という構造を描いた物語だ。
中沢は犯罪者であると同時に、犠牲者でもある。
その曖昧さが、この回を苦く、忘れがたいものにしている。
そしてその重さを、スピード感とスタイリッシュさで包み込むのが「あぶない刑事」という作品だ。
だからこそ、第5話は“初期回”でありながら、シリーズの本質をすでに示している。



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