【黒執事】ケルヴィン男爵の執着と狂気

『黒執事 Book of Circus』に登場するケルヴィン男爵は、なぜシエルに異常な執着を持ち、狂気じみた行動に走ったのでしょうか？

この記事では、彼の過去や人間性、そして彼がシエルに執着する理由について考察していきます。

ケルヴィン男爵がシエルに執着した背景

ケルヴィン男爵は『黒執事 Book of Circus』に登場する貴族です。彼がシエルに対して抱いた感情は、単なる好奇心や憧れではなく、歪んだ崇拝と自己投影でした。

ここでは、彼がシエルに執着するようになった背景を探っていきます。

ヴィンセントとシエルに心惹かれる

ケルヴィン男爵がシエルに興味を持つきっかけは、シエルの父であるヴィンセント・ファントムハイヴ伯爵との出会いでした。彼は、夜会でヴィンセントとシエルを目にした瞬間、ファントムハイヴ父子の気品と威厳に圧倒されます。

このとき、ケルヴィンは彼らが「特別な人間」であると確信し、自らの人生をかけてその世界に触れようと決意したのです。

「特別な人間」への憧れと劣等感

ケルヴィン男爵の生い立ちや詳細な背景は明かされていませんが、彼は自らを醜い存在だと強く思い込んでいました。

一方で、ファントムハイヴ家の人々は気品と美しさを兼ね備えた「完璧な存在」に見えたのです。

この強烈な対比が彼の自己嫌悪と執着を加速させていきます。

彼はただ憧れるだけでなく、自分も「特別な人間」になりたいという欲望を抱くようになります。

しかし、どれだけ努力をしてもヴィンセントやシエルのようになれない――その絶望が、彼をより狂気へと追いやっていくのでした。

このようにして、ケルヴィン男爵は「特別な人間」への羨望と劣等感を募らせ、異常な執着を抱くようになります。

ケルヴィン男爵の異常な執着の正体

ケルヴィン男爵のヴィンセントやシエルへの執着は、単なる興味ではなく狂気に満ちた歪んだ愛ともいえるものでした。

彼は、自らの姿を変えることでその世界に近づこうとします。その異常なまでの執着は、どのように形作られていったのでしょうか。

理想の姿を求め整形手術を繰り返す

ケルヴィン男爵は「特別な人間」に近づくために、自らの外見を変えようとしました。

彼は数々の整形手術を受け、美しくなろうと試みますが、それでも彼の劣等感は消えませんでした。

むしろ手術を重ねるごとに彼の心の闇は深まり、ますます執着が強くなっていきます。

それは単なる憧れを超え、「自分も彼の世界の一員になりたい」という強迫観念に変わっていきました。

シエルを「特別な存在」として崇拝

ケルヴィン男爵にとって、シエルは手の届かない理想そのものでした。

しかし、シエルが誘拐され生贄にされそうになった事件をきっかけに、彼の歪んだ思考はより極端なものへと変化します。

彼は「自分の夜の世界から消えてしまった月が戻ってきた」と考え、シエルを自分のもとへ迎え入れることを願うようになったのです。

こうしてケルヴィン男爵の狂気に満ちた崇拝は極限へと達していきます。

ケルヴィン男爵の狂気と「儀式」

ケルヴィン男爵は、自らの願望を叶えるために恐ろしい計画を実行に移します。

彼はシエルを迎えるために、ある「儀式」を準備していました。

それは、彼にとって「過去をやり直す」ことを意味していたのです。

「やり直そう、3年前のあの日を！」

ケルヴィン男爵は、シエルを迎えるため地下に儀式の間を作り上げました。彼は、シエルに告げます。

「さぁ、やり直そう。ファントムハイヴ伯爵。3年前のあの日を！」

彼にとっては、過去の出来事を再現し、シエルを自分の世界に取り込む望みが叶う瞬間がおとずれようとしていました。

シエルにとっては悪夢の「儀式」

ケルヴィン男爵の願望は、過去の「儀式」の場に戻ることでした。

彼は、シエルが生贄として扱われた日の状況を再現し、自らの手でその続きを作り上げようと考えたのです。

しかし、シエルにとってそれは悪夢の再来でしかありませんでした。

ケルヴィン男爵の最期とジョーカーの忠誠

ケルヴィン男爵の運命は、シエルの決断によって大きく変わります。

ケルヴィン男爵の最期の言葉

ケルヴィン男爵の狂気を目の当たりにしたシエルは、彼に銃口を向けます。

彼の最期の言葉は、「殺すならあの日の皆とお揃いに…」という歪んだ願望でした。

ジョーカーが守りたかったもの

ケルヴィン男爵を父として慕っていたジョーカーは、彼を守ろうとします。しかし、彼が本当に守りたかったのは、いまも孤児院に残る子供たちでした。

ジョーカーはシエルと対峙しながらも、自分たちの生きる意味を見つめ直します。しかし、その運命もまた、シエルによって断ち切られてしまうのです。