『その着せ替え人形は恋をする』に登場する「のんちゃん」は、新菜の心に深い傷を残した存在です。
この記事では「のんちゃん」とは誰なのか、なぜ新菜に「気持ち悪い」と言ってしまったのか、再会したふたりが過去にどう向き合ったのか、ネタバレを交えてわかりやすく解説します。
この記事を読むとわかること
- 幼いのんちゃんが新菜に「気持ち悪い」と言った理由と背景
- 2人の再会、やっと伝えられた本当の気持ち
のんちゃんは隣の女の子
『その着せ替え人形は恋をする』の主人公新菜(わかな)には、心の奥に深く残る傷があります。それは、幼ない頃に出会った「のんちゃん」の言葉でした。
両親を亡くした新菜
幼い頃に事故で両親を亡くした新菜は、従姉妹の家に引き取られました。その隣に住んでいたのが、のんちゃんです。
このときの新菜は、ショックで昼間も布団から出られず、会話もできない状態でした。
毎日そばで本を読み聞かせる
新菜が元気を取り戻せるように、のんちゃんは毎日新菜のそばで本を読み聞かせていました。
言葉も交わせない新菜に、のんちゃんは自分なりの方法で「助けになりたい」という気持ちを持っていたのです。
新菜の反応はありませんでしたが、新菜の叔母が声をかけてくれました。
「のんちゃんが本を読んでくれて、きっと嬉しいと思うよ」
「気持ち悪い」と言った理由
のんちゃんにとって、たとえ新菜の反応がなくても心を通わせる特別な時間だったのかもしれません。いつか、笑顔を取り戻した新菜と楽しく遊べる日が来ると信じていたことでしょう。
しかし、新菜が笑顔を取り戻したきっかけは、のんちゃんではありませんでした。
雛人形に感動した新菜
布団から出ることさえできなかった新菜を、おじいちゃんが連れ出してくれました。
おじいちゃんの作った雛人形を見たとき、その美しさに感動した新菜は、ようやく笑顔を見せたのです。そして、おじいちゃんの家で暮らすと言い出しました。
心にもない言葉を・・・
引っ越し直前、新菜に会いに行ったのんちゃん。好きなテレビ番組を一緒に見ようと誘いますが、新菜は雛人形に夢中で振り向きもしません。
新菜の役に立てなかった無力感やお雛様への嫉妬・・・さまざまな感情がのんちゃんの胸のなかで爆発してしまったのでしょう。
「なんで男の子のくせに・・・女の子のお人形好きなのよ!気持ち悪い!わっちゃんなんて大嫌い!」と叫んでしまったのです。
その言葉は、新菜の心に深い傷を残しました。
「自分の思いをぶつけなかった」ことを後悔
新菜は、街で手芸用品店の宇佐見さんに会います。新菜の話を聞いた宇佐美さんは、自身の過去を語ってくれました。
父親に反対されて被服の道に進む夢を諦めたことではなく、「それでもやりたい」と自分の思いをぶつけなかったことを宇佐美さんは後悔していました。
新菜は、出会った頃の海夢の言葉も思い出しました。
「自分の気持ちは、自分の為に言わなきゃダメだよ!」
気持ちを伝えることの大切さを再確認した新菜は、のんちゃんと向き合う決意を固めました。
「俺、雛人形が好きなんだ」
新菜が帰宅すると、家の前にのんちゃんがひとりで立っていました。
意を決した新菜は、のんちゃんに自分の気持ちを伝えます。
「俺、雛人形が好きなんだ」
「本当は思ってなかった」
できるだけのんちゃんに関わらないようにする・・・という新菜にのんちゃんが、伝えます。
「本当は(気持ち悪いと)思ってなかった」
のんちゃんは、新菜に酷いことを言ってしまった後悔を、ずっと心に抱えていたのです。
しかし、謝ることで新菜をまた傷つけるのではと悩み、なかなか踏み出せませんでした。
のんちゃんも苦しんでいた
「謝ったら許さなきゃいけないと思わせてしまうかも」
「許さなかった罪悪感で苦しめてしまうかも」
「謝って自分が楽になりたいだけなのかも」
そんな葛藤が、のんちゃんを苦しめていました。
のんちゃんは勇気を出して、「ごめんね、わっちゃん、本当にごめん・・・」と謝罪しました。
2人はようやく、お互いの気持ちを伝えることができたのです。
自分の気持ちを話せた
新菜が長年抱えていた「自分は気持ち悪いのでは」という思い込み。それは、幼少期にのんちゃんから言われた一言が原因でした。
のんちゃんの謝罪と、新菜の「これからも変わらず雛人形が好き」という告白。
この2人のやり取りは、新菜のトラウマに終止符を打つ瞬間となりました。
この記事のまとめ
- のんちゃんは新菜の幼少期の隣人
- 「気持ち悪い」と言ったのは、お雛様への嫉妬が原因
- 新菜が笑顔になったきかっけが雛人形だったことへの悔しさ、無力感があった
- 高校生になって2人は再会
- 宇佐見さんの言葉が新菜の背中を押した
- 2人は本音を伝え合い、心の傷を癒す
- 長年のトラウマがついに解消された
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