パリピ孔明、アヴちゃんの歌の魅力を語る

ドラマ

三国時代の天才軍師・諸葛孔明が現代の渋谷に転生し、歌手の卵を成功へと導く──そんな奇想天外な物語を軸にしたフジテレビ系ドラマ『パリピ孔明』。

このドラマがひとつの「音楽体験」として完結する背景には、アヴちゃん(女王蜂)という稀有な歌い手の存在がある。

今回はそんなアヴちゃんにスポットを当てて、その魅力に迫っていきたい。

パリピ孔明、アヴちゃんの歌の魅力を語る:「世界的シンガー」という役が、アヴちゃんにしか成立しない理由

ドラマの中でアヴちゃんが演じるのは、世界を舞台に活躍するシンガー「マリア・ディーゼル」。

英子(上白石萌歌)がアルバイトするライブハウス「BBラウンジ」のオーナー・小林(森山未來)とは旧来の仲であり、高校時代に人生の岐路に立っていた英子に歌声で生きる力を与えた、まさに伝説的な存在として描かれる。

この役柄は、「世界的シンガー」という説得力を実際の歌唱力で担保できるキャストでなければ成り立たない。

制作陣がアヴちゃんに白羽の矢を立てたのは、当然の判断だったといえる。

2009年に神戸で活動を始めた女王蜂は、アヴちゃんの圧倒的なボーカルを軸に独自の世界観を構築し続け、2011年のメジャーデビュー以降も武道館公演や代々木第一体育館での単独公演など、その活動スケールは拡大一途をたどってきた。

パリピ孔明、アヴちゃんの歌の魅力を語る:「I’m still alive today」──書き下ろしが生む一体感

マリアの代表曲として劇中に位置づけられる「I’m still alive today」は、ドラマのために新たに書き下ろされた楽曲だ。

作曲は安室奈美恵や三浦大知、Little Glee Monsterらへの楽曲提供で知られる今井了介が担当し、アヴちゃん自身が作詞を手がけた。

「初めて聴いた時、荘厳なサウンドの中で、私がマリアとしてすべきことがたくさん見えてきて、その勢いのままに歌詞を書きました。

話数が進んでゆくにつれ、プロデューサーの方から”実はこの歌詞がこの展開を暗示していて…”と言って頂けて、”早速、荘厳になっている!”とうれしく思いました」── アヴちゃん(ソニーミュージック公式コメントより)

荘厳なサウンドが先にあり、そこからキャラクターとして発すべき言葉を直感で書いた──このプロセスは、俳優的なアプローチとも、シンガーソングライター的なアプローチとも異なる、アヴちゃん独自の創作法だ。

しかも完成した歌詞がドラマの展開を予言的に暗示していたという事実は、彼女の感性がマリアという人物像の核心を射抜いていたことを示している。

パリピ孔明、アヴちゃんの歌の魅力を語る:音域の広さが生む「感情の振れ幅」

アヴちゃんの歌声の最大の特徴は、高音と低音を自在に使い分ける広大な音域にある。

女王蜂の活動全体を通じてその個性は際立ってきたが、「I’m still alive today」ではR&Bテイストの美しいメロディラインの上でその才能が余すところなく発揮される。

主演の向井理が撮影中に「鳥肌が立った」と語ったという逸話は、単なる賛辞ではない。

俳優が演技の現場で思わず感情を動かされるほどの歌唱──それはスタジオで磨かれた技術だけでなく、その場の空気を支配する「ライブの力」でもある。

「高いとされる音域がたくさん登場してくるので、そこを楽しんで聴いて頂けると思います。

マリアがシンガーとして伝えたい”明日を手に入れにゆきましょう”と、世の中へ投げかけている思いを感じて頂けるとうれしく思います!」── アヴちゃん

パリピ孔明、アヴちゃんの歌の魅力を語る:「演じる」ことと「歌う」こと──その境界を溶かす力

今回のドラマ出演はアヴちゃんにとって実写ドラマ初挑戦だった。

にもかかわらず、彼女はマリアという人物の「神秘性」と「強さ」を体現し、共演者を魅了したという。

作詞を通じてキャラクターの内面を深く理解したからこそ、歌と演技の境界が自然に溶け合ったのだろう。

ドラマ最終回放送日に配信リリースされた「I’m still alive today」のMVは、「BBラウンジ」でのパフォーマンスシーンを中心に構成され、マリアとオーナー小林の思い出も織り込まれた作りとなっている。

音楽単体として完結しながらも、ドラマ本編と深く連動する重層的な作品だ。

パリピ孔明、アヴちゃんの歌の魅力を語る:音楽が物語を生き延びさせる

「パリピ孔明」というドラマは、音楽が人の人生を変えうるという命題を、コメディとシリアスの絶妙なバランスで描き続けた。

その核心部分を担ったのが、アヴちゃんの歌声だった。

英子にとってマリアは「憧れの人物」であり続ける。

それは単にキャリアの成功を象徴しているだけでなく、「歌が人を生かす」という体験の証人でもある。

高校時代に人生の迷路にいた英子が、マリアの声に救われた──そのエピソードが説得力を持つのは、アヴちゃんが実際に、そういう歌を歌える人間だからだ。

フィクションの中のシンガーを演じながら、現実のアーティストとしての重みを乗せてくる。

それがアヴちゃんという存在の、ドラマにおける最大の貢献である。

「I’m still alive today」──今日も生き続けていること、それ自体を讃えるこのタイトルは、マリアの物語であると同時に、アヴちゃんが音楽を通じて社会に向け続けているメッセージそのものだ。

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