1987年に放送された名作刑事ドラマ『あぶない刑事』第42話「恐怖」は、シリーズの中でも独特の雰囲気とスリリングな展開が光るエピソードです。
この記事では、第42話のあらすじや印象的なセリフ、そして脚本家・大川俊道氏による第11話との関連性まで、詳しくご紹介します。
「あぶない刑事」ファンや懐かしのドラマをもう一度楽しみたい方、そしてゲスト出演の団時朗さんに注目している方にも役立つ内容です。
この記事を読むとわかること
- 『あぶない刑事』第42話「恐怖」の詳しいあらすじと事件の構造
- 脚本家・大川俊道による第11話との共通点と演出意図
- 昭和の風景や当時の時代背景が映し出す見どころ
第42話「恐怖」の犯人は誰?動機と事件の真相を解説
第42話「恐怖」は、1987年7月26日に放送されたエピソードで、連続刺殺事件が物語の軸になっています。
事件の被害者は化粧品輸入会社の社長・ハギワラで、娘のユカリが唯一の遺族として登場します。
犯行はその後も続き、複数の犠牲者が出る中、容疑者たちの共通点が捜査を進展させていきます。
注目すべきは、容疑者が全員、同じ大学のボート部出身者だったという点です。
これは偶然ではなく、事件の根底に過去の因縁や隠された動機があることを示唆しています。
タカとユージは、限られた証拠の中から犯人像を浮かび上がらせていく過程で、心理戦的な駆け引きを見せてくれます。
最終的に明らかになるのは、犯人が快楽的な殺人に快感を覚えてしまったという、異常な動機です。
この設定はシリーズの中でも特に衝撃的で、人間の闇に踏み込むシリアスな描写が展開されます。
ドラマ全体のトーンも普段の軽妙なテンポとは異なり、緊張感と不安感を漂わせる構成となっています。
タカとユージの名セリフで振り返る名シーン
『あぶない刑事』の魅力のひとつは、タカとユージの息の合った掛け合いにあります。
第42話「恐怖」でも、緊張感あふれるストーリーの中で印象的なセリフがいくつも登場します。
特に、事件の核心に迫る場面では、彼らの台詞が感情を鋭く切り取り、視聴者の心に残ります。
「ヒョウドウさん、NHKですけど」—ユージのユーモア
このセリフは、張り詰めた空気の中に放たれたユージの“ボケ”として有名です。
思わずクスッとさせる一言ながら、捜査中の緊張感を和らげる効果も持っています。
本作ではこうした絶妙なセリフの配置がストーリーを単調にさせず、キャラクターの個性を際立たせています。
「タカ、タカ!……死んでるんだ」—緊迫の場面
一方で、ユージが絞り出すように放ったこのセリフは、事件の深刻さを象徴するセリフとして印象深いものです。
感情のこもった声色が、その場にいた視聴者さえ息を飲ませる緊迫感を生み出しています。
タカとユージの信頼関係や、事件の重みが如実に表現されている場面です。
このようなシリアスとユーモアの絶妙なバランスこそが、「あぶない刑事」シリーズの真骨頂とも言えるでしょう。
名セリフは単なる台詞回しではなく、キャラクターの内面やストーリー展開を象徴する重要な要素になっています。
第11話との脚本的な共通点と演出の意図
「恐怖」を視聴していて感じたのは、どこか既視感のある構成と空気感でした。
それもそのはず、第11話「追撃」と脚本家が同じ大川俊道氏だったのです。
両話を見比べることで、脚本家ならではの作風や、犯人像の描き方の共通点が浮かび上がってきます。
同じ脚本家による“快楽殺人”の構図
第11話でも犯人は快楽的に人を殺める異常性を持っていました。
今回の第42話でもそれは踏襲されており、犯人の動機は「殺すことそのもの」にありました。
理屈を超えた衝動を描くことで、犯人の恐怖がリアルに迫ってくるのです。
特にこのような心理描写は、社会的背景よりも個人の異常性にフォーカスするスタイルであり、大川氏の得意とする脚本構成です。
ストーリーの緊張感は最後まで緩まず、見終えた後も不気味さが残るように仕上がっています。
セリフが少ないゲスト俳優に込められた演出意図
第11話では「仮面ライダーV3」で知られる宮内洋さんが、第42話では「帰ってきたウルトラマン」の団時朗さんがゲスト出演しています。
どちらの役柄もセリフが非常に少なく、表情や存在感だけで“狂気”を演じる演出が印象的です。
これは、言葉では語りきれない異常性や、感情の不在そのものを強調する狙いがあると感じました。
こうした「静」の演技に重点を置くスタイルもまた、大川脚本の特徴のひとつです。
シリーズを通して見ていくと、脚本家ごとの作風の違いがより鮮明に見えてきます。
懐かしの風景と時代背景に注目
第42話「恐怖」では、事件やドラマの展開だけでなく、昭和の風景や当時の社会背景も見どころのひとつです。
ロケ地として登場する場所や小道具の数々が、1980年代の横浜の空気をリアルに映し出しています。
視聴者にとっては、事件の緊迫感の中にもどこか懐かしさを感じられる演出が印象的です。
昭和の横浜—首都高建設前の景色
作中では、現在では見ることのできない風景がいくつも登場します。
たとえば首都高速湾岸線の建設途中の様子や、高架のないR357号線が印象的に映されています。
こうした映像は、今では都市開発の貴重な記録とも言えるでしょう。
また、横浜霊園や港湾地帯の雰囲気も相まって、物語全体に“静けさと不穏さ”を漂わせています。
刑事ドラマでありながらも、時代を切り取ったドキュメント的な側面も兼ね備えているのが特徴です。
カオルのショルダーフォンに見る昭和ガジェット
もうひとつ見逃せないのが、小道具として登場する通信機器です。
本作では、カオルがショルダーフォンらしき大型電話機を使う場面があります。
これは現代のスマートフォンとはまったく異なる、昭和ならではのビジュアル的インパクトを放っています。
このように、背景や小道具のひとつひとつが、物語の空気をより濃密にする演出として機能しているのです。
当時を知る人にとってはノスタルジックに、知らない世代にとっては新鮮なカルチャーショックを感じられる部分でもあります。
あぶない刑事 第42話「恐怖」感想と見どころまとめ
第42話「恐怖」は、他のエピソードと比較しても異彩を放つ重厚な物語構成が特徴的です。
快楽殺人をテーマに据えた脚本は、単なる事件解決では終わらない人間の内面を掘り下げるドラマ性を感じさせます。
シリーズを通じて楽しんできたファンにとっても、印象深い回となったのではないでしょうか。
犯人像と脚本構成の秀逸さ
今回の犯人は、明確な恨みや金銭的理由ではなく「殺すことそのもの」が目的という異常性を持っています。
こうした動機は視聴者に強烈な不気味さを与えると同時に、犯罪の不条理さを突きつけるものでもあります。
同じ脚本家による第11話との共通点も明確で、シリーズを構造的に楽しむうえでも興味深い要素となっています。
ゲスト俳優の存在感とシリーズ内の位置付け
ゲスト出演の団時朗さんは、セリフこそ少ないものの、その静かな佇まいで異常性を巧みに表現していました。
特に、表情や立ち居振る舞いの一つひとつに狂気がにじみ出ており、台詞以上の情報を観客に伝える演技が光っていました。
また、この回ではトオルのユージ化が進んでいたという点も、シリーズファンにとっては気になるポイントです。
タカとユージの絶妙なやりとり、緊迫した事件、そして昭和の雰囲気が融合した本作は、『あぶない刑事』の中でも見応えのある一話だと感じました。
ただの刑事ドラマにとどまらず、サスペンスや人間ドラマの要素も併せ持つのが、このシリーズの魅力なのだと改めて実感します。
あぶない刑事 第42話の魅力を振り返ってまとめ
第42話「恐怖」は、シリーズの中でも異常犯罪をテーマにした異色回として際立っていました。
ストーリー、演出、キャストのバランスが取れており、ドラマとしての完成度が非常に高い一話です。
ここでは、全体を通して感じた魅力を整理し、あらためて本作の価値を振り返ります。
事件の構造と演出が光る一話
事件は単純な怨恨や利害関係ではなく、理性を逸した“殺意”そのものが主軸となっています。
これにより、視聴者は犯人に対して論理的な理解ができない分、深い恐怖と緊張感を抱く構成になっていました。
また、捜査に関わるタカとユージのやりとりにも、緩急のある演出が加えられ、物語に自然なリズムを与えています。
脚本と演技が魅せる完成度の高さ
脚本を担当した大川俊道氏の構成力が冴えわたった回でもありました。
前述のように第11話との共通性もあり、シリーズファンならではの“気づき”が楽しめる内容です。
また、団時朗さんの演技はセリフが少ないながらも、その存在感だけで物語の中心に立つ力があり、視聴後にも印象が残ります。
映像に映る街並みや小道具も含めて、「時代と物語が融合した刑事ドラマ」として見応えのある一話です。
改めて、『あぶない刑事』が持つ奥深さと、時代を越えて語り継がれる理由がよく分かる回でした。
この記事のまとめ
- 第42話「恐怖」は連続刺殺事件がテーマ
- 犯人の動機は快楽殺人という異常性
- 第11話と同脚本家による構成的類似
- 団時朗の無言演技が印象的
- タカとユージのセリフも見どころ
- 昭和の横浜風景や当時の小道具も登場
- ドラマと時代背景の融合が楽しめる
- シリーズの中でも緊張感の高い一話



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