今や日本の映画・ドラマ界に欠かせない存在となった個性派俳優、ムロツヨシ。
コミカルな役からシリアスな役まで幅広くこなし、その独特の存在感と巧みな演技で多くの視聴者を魅了しています。
そんな彼が、かつて国民的映画シリーズ『踊る大捜査線』に出演していたという事実をご存知でしょうか。
「え、ムロツヨシが踊るに?」「一体、何役で出ていたの?」
多くの人がそう思うのも無理はありません。
なぜなら、その出演は彼のブレイク前、まだ無名だった時代のことであり、クレジットを注意深く見なければ気づかないほどの、ほんの小さな役だったからです。
しかし、その小さな役こそが、今日の俳優ムロツヨシを形作る上で極めて重要な「原点」となりました。
この記事では、「踊る大捜査線のムロツヨシは何役?」という疑問への答えを入り口に、彼がどのようにしてチャンスを掴み、スターダムへの階段を駆け上がっていったのか、その知られざる物語を紐解いていきます。
踊る大捜査線に出演する29歳のムロツヨシ、いまと全然違いすぎて草。 pic.twitter.com/JLeNmF4pKm
— お侍さん (@ZanEngineer) December 26, 2024
踊る大捜査線にムロツヨシは出ていた?:『踊る2』に登場!見つけられたらスゴい、その役とは?
結論から言うと、ムロツヨシさんが出演していたのは、シリーズ最大のヒット作である『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(2003年公開)です。
気になるその役柄は、物語の終盤、SAT(特殊急襲部隊)が犯人グループのアジトに突入する緊迫したシーンで登場する、「監視モニター室の係員の一人」です。
具体的には、SATの突入班がアジト内部の様子をうかがうために、隠しカメラの映像を送っているのですが、その映像を別室のモニターで監視している数人の係員がいます。
ムロツヨシさんはその中の一人として座っているのです。
セリフは一切なく、出演時間もほんの数秒。
主演の織田裕二さん演じる青島俊作との共演シーンもありません。
まさに「エキストラ」と言っても過言ではない出演であり、後に彼がこれほどの人気俳優になることを当時誰が想像できたでしょうか。
今改めて本編を見返して、若き日のムロツヨシさんを見つけ出すのは、ファンにとって一つの楽しみになるかもしれません
踊る大捜査線にムロツヨシは出ていた?:なぜ出演?本広克行監督との出会いと執念の売り込み
では、なぜ彼はこの名もなき役で『踊る大捜査線』に出演することになったのでしょうか。
その背景には、ムロツヨシさん自身の並々ならぬ執念と、本広克行監督との運命的な出会いがありました。
当時、ムロツヨシさんは大学を中退し、役者を志して小劇団などで活動していましたが、なかなか芽が出ない日々を送っていました。
26歳にして俳優としての仕事の予定がゼロになり、アルバイト生活に明け暮れるどん底の状態に。
このままではいけないと一念発起した彼は、自らを売り込むために行動を開始します。
そして、ある舞台の打ち上げに『踊る大捜査線』シリーズの監督である本広克行氏が来ているという情報を聞きつけます。
ムロツヨシさんはこの千載一遇のチャンスを逃すまいと、本広監督の元へ。
そして、自作の名刺を手に、ただひたすらに自分の名前を連呼したと言います。
そのあまりの押しの強さに、本広監督は当初「うぜーな、お前みたいなの苦手なんだ」とさえ思ったそうです。
しかし、その強烈な熱意と個性は、監督の記憶に深く刻み込まれることになりました。
この執念の売り込みこそが、後の『踊る大捜査線 THE MOVIE 2』への出演に繋がる、記念すべき第一歩となったのです
踊る大捜査線にムロツヨシは出ていた?:小さな役が大きな飛躍へ – 「踊る」が繋いだ縁
『踊る2』での監視員役は、それ自体が彼のキャリアを大きく変えるものではありませんでした。
しかし、この出演は「点」で終わらず、未来へと繋がる重要な「線」の始まりでした。
本広監督との縁が、ムロツヨシさんの俳優人生を大きく動かしていくのです。
ステップ1:役名をもらう
『踊る2』での出会いをきっかけに、ムロツヨシさんは本広監督作品に続けて起用されるようになります。
2005年に公開されたスピンオフ映画『交渉人 真下正義』では、地下鉄の警備員役として出演。
ここで彼は「倉橋大助」という役名を初めて与えられます。
エキストラ同然だった『踊る2』から、役名のあるキャストへと、着実な一歩を踏み出した瞬間でした。
ステップ2:主要キャストへの大抜擢
そして、ムロツヨシさんのキャリアにおける最大の転機が訪れます。
同じく2005年に本広監督が手掛けた青春SFコメディ映画『サマータイムマシン・ブルース』です。
ヨーロッパ企画の傑作舞台を映画化したこの作品で、ムロツヨシさんは主要キャストの一人であるSF研究会の学生役に大抜擢されました。
瑛太(現:永山瑛太)さんや上野樹里さんといった若手スターと肩を並べ、そのユーモラスな個性をいかんなく発揮。
この作品のヒットにより、俳優「ムロツヨシ」の名前と顔は、映画ファンの間で広く知られることとなりました
踊る大捜査線にムロツヨシは出ていた?:まとめ
「踊る大捜査線のムロツヨシは何役?」という問いの答えは、「監視モニター室の名もなき係員」でした。
しかし、その背景を追っていくと、そこには単なる出演記録以上の、一人の俳優のサクセスストーリーが凝縮されています。
自ら行動を起こして監督に売り込み、掴んだほんの小さなチャンス。
そのチャンスを決して手放さず、次の仕事へと誠実に繋げていく。
そして、一つ一つの現場で存在価値を示し、より大きな役を勝ち取っていく。
ムロツヨシさんの歩みは、才能だけではない、人間力と行動力で道を切り拓いてきた証です。
もし次にあなたが『踊る大捜査線 THE MOVIE 2』を観る機会があれば、ぜひ終盤の監視室のシーンに注目してみてください。
そこに映る若き日の彼の姿に、日本を代表する俳優へと駆け上がっていく、力強いエネルギーの萌芽が見えるはずです。
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