日本映画史に燦然と輝く名作『踊る大捜査線』。
数々の名シーンの中でも、多くのファンの心に深く刻まれているのが、『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』のラストで描かれる、和久平八郎(わくへいはちろう)と青島俊作(あおしましゅんさく)、室井慎次(むろいしんじ)のやり取りです。
和久がふと呟いた「頼むぞ、警察を!なんてな」。
この言葉は、単なるユーモラスな一言ではありません。
そこには、和久という一人のベテラン刑事の壮絶な人生と、若き世代への深い想いが凝縮されています。
今回は、この名言を深掘りし、和久さんの真の心情に迫ります。
和久さん(#いかりや長介 さん)が青島と室井の前から去ってゆくシーン
本作から1年も経たずして、いかりやさんは亡くなってしまった
当時、訃報を聞いて大変な衝撃を受けた
これが踊る大捜査線での最後のシーンとなってしまった#踊る大捜査線THEMOVIE2 #踊る大捜査線 pic.twitter.com/AZ2Mv5VeXG
— ひろ行き (@fujisawa_tv) October 5, 2024
踊る大捜査線、和久さん最後の言葉:「頼むぞ、警察を!」に込められた、和久の願い
和久が、青島と室井の背中に向かって静かに発した「頼むぞ、警察を!」。
この言葉は、長年警察官として生きてきた和久が、定年を間近に控え、次世代に託す最後の願いそのものです。
和久の人生は、常に「組織」という巨大な壁に阻まれてきました。
キャリア組とノンキャリアの対立、現場の声が届かないもどかしさ、そして、正義を貫こうとするがゆえの葛藤。
彼は、組織の中で何度も理不尽な思いをしながらも、決して諦めず、その信念を貫いてきた「現場の人間」でした。
しかし、一人の力ではどうにもならないことも痛いほど知っていました。
だからこそ、彼は自分の人生の集大成として、「頼むぞ、警察を!」という言葉に、自分が成し遂げられなかった警察組織改革の夢を託したのです。
それは、「俺の代わりに、お前たちがこの警察を、もっといい組織にしてくれ」という、静かでありながらも力強いメッセージでした。
踊る大捜査線、和久さん最後の言葉:「なんてな。」という一言に隠された、和久の美学
和久の言葉が、単なる説教や熱いメッセージで終わらないのは、その後に続く「なんてな。」という一言があるからです。
この「なんてな。」には、いくつかの意味が込められています。
照れ隠し
和久は、普段から熱血漢の青島とは対照的に、多くを語らない寡黙な男でした。
感情をむき出しにしたり、熱いメッセージを投げかけたりすることは、彼の美学に反します。
だからこそ、本音を口にした後、その言葉の重さを和らげるかのように「なんてな。」と付け加え、照れ隠しをしたのです。
青島と室井への配慮
和久は、自分の願いを押し付けるつもりは一切ありませんでした。
「頼むぞ、警察を!」という言葉は、あくまで彼の個人的な願いです。
それを若者たちに重荷として背負わせたくない、自由に、自分たちのやり方で生きていってほしいという、彼なりの配慮が「なんてな。」という軽やかな響きに込められています。
世代交代の象徴
「なんてな。」は、「これからはお前たちの時代だ」という、和久なりの世代交代の宣言でもあります。
自分はもう、この舞台を降りる。
だから、最後の最後に自分の想いを伝え、あとはすべて彼らに委ねる。
和久は、この一言で、自分が過去の存在となり、青島と室井が未来の警察を担うことを静かに、そして誇らしげに受け入れたのです。
和久さんの、踊る大捜査線シリーズでの最後の台詞が、この「なんてな・・・」だった。#踊る大捜査線 #odoru #OD2_20周年 #踊る大捜査線20周年 pic.twitter.com/BrKngg0J9P
— かず@踊る大捜査線 (@_KAZ_) July 19, 2023
踊る大捜査線、和久さん最後の言葉:いかりや長介の演技がもたらす説得力
このシーンの感動は、いかりや長介さんの圧倒的な演技力なしには語れません。
セリフ一つひとつに込められた重み、そして、言葉の後に見せる、安堵と寂しさが入り混じったような、あの複雑な表情。
いかりやさん自身がドリフターズという巨大な組織の中で、長年リーダーを務めてきた経験が、和久というキャラクターに深い奥行きを与えています。
セリフを言う前に一度、息を整える間合いや、振り向かずに背中で語る姿は、まさに「背中で教える男」そのもの。
このシーンは、いかりや長介という俳優が、和久平八郎というキャラクターと完全に一体化した、奇跡のような瞬間でした。
『踊る大捜査線』の物語は、単なる刑事ドラマではありません。
それは、理想と現実、組織と個人の葛藤を描いた、普遍的な人間ドラマです。
和久さんの最後の言葉は、彼がどれだけ警察を愛し、その未来を案じていたかを物語っています。
彼の想いは、青島と室井、そして私たち視聴者の心に深く残り、「自分にとっての正しいこととは何か?」を問い続けているのです。



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