踊る大捜査線、新たなる希望のネタバレ!?

ドラマ

2012年に公開された『踊る大捜査線 THE MOVIE FINAL 新たなる希望』は、15年にわたる長大なシリーズの集大成として、多くのファンの期待と感動の中で幕を閉じました。

青島俊作が追い続けた「現場の正義」と、彼を取り巻く湾岸署の仲間たち、そして警察組織の巨大な壁。

その全てに一つの答えが示された本作の物語を、核心部分に触れる完全なネタバレとともに振り返っていきます。

踊る大捜査線、新たなる希望のネタバレ!?:バスジャックと謎の殺人事件

物語は、国際環境エネルギーサミットの会場で発生した誘拐事件から始まります。

しかし、それは大規模なバスジャック事件の前触れに過ぎませんでした。

さらに、そのバスジャック事件の被害者の中から、一人の男性が遺体で発見されます。

単なるバスジャックではなく、背後に複雑な意図が隠された殺人事件として、湾岸署に大規模な捜査本部が設置されます。

今回の捜査を指揮するのは、警察庁長官官房審議官であり、前作で青島と対立した鳥飼誠一(小栗旬)。

彼は、所轄の捜査員たちを徹底的に管理下に置き、情報共有を制限するエリート主義的な捜査方針を打ち出します。

これにより、青島俊作(織田裕二)ら現場の刑事たちと捜査本部の間には、シリーズおなじみの深い溝が生まれることになります。

そんな中、湾岸署にはかつての指導員・和久平八郎(いかりや長介)の甥である和久伸次郎(伊藤淳史)が配属されます。

彼が携える叔父の「和久ノート」には、ベテラン刑事の知恵と心得が記されており、それが膠着した捜査を動かす小さな光となっていきます。

踊る大捜査線、新たなる希望のネタバレ!?:浮かび上がる真犯人の影と警察組織の闇

捜査は難航を極めます。

鳥飼が主導する捜査本部は、サイバーテロの線で捜査を進めますが、青島たちは現場の聞き込みや地道な捜査から、事件の裏に隠された別の側面に気づき始めます。

バスから解放された人質たちの証言、殺害された被害者の身辺、そして犯行に使われた拳銃の種類から、犯人像が徐々に輪郭を現し始めます。

犯人が使用した拳銃は、かつて警察官が所持していたものでした。

この事実から、警察内部の人間、あるいは元警察官が事件に深く関与しているという疑惑が浮上します。

青島たちは、警察組織が隠蔽しようとする過去の不祥事にこそ、事件の真相を解く鍵があると確信。

鳥飼らキャリア組の妨害を受けながらも、独自の捜査を続けます。

この過程で、鳥飼自身が抱える過去のトラウマと、彼が警察組織の秩序を維持するためなら非情な決断も厭わないという「正義」が描かれます。

彼は、青島のやり方を否定しつつも、心のどこかで彼の持つ現場の熱意を無視できないでいる、複雑なキャラクターとして描かれています。

踊る大捜査線、新たなる希望のネタバレ!?:真犯人の正体とその悲しい動機

青島たちの執念の捜査、そして室井慎次(柳葉敏郎)の裏からの支援により、ついに事件の黒幕が特定されます。

真犯人は、鳥飼の同期であった元警察官僚・久瀬智則(香取慎吾)でした。

久瀬は、数年前に起きたある事件が原因で警察を辞めていました。

その事件とは、警察が導入した監視システムの実証実験中に、システムのエラーによって無実の少年が容疑者として追われ、最終的に命を落としてしまったという悲劇です。

少年は久瀬の友人であり、彼は警察組織がシステムの欠陥を隠蔽し、友人の死の責任を闇に葬ったことに絶望していました。

彼の動機は、個人的な復讐心と、腐敗した警察組織への義憤でした。

彼は、自らが作り上げた「完璧な犯罪計画」を実行することで、警察組織がいかに脆弱で、正義を見失っているかを世に知らしめようとしたのです。

サミットを狙ったのも、世界の注目を集め、警察の失態を白日の下に晒すためでした。

そして、かつての同期であり、組織の論理を体現する鳥飼を捜査の指揮官に仕立て上げ、彼が苦悩し、破滅する様を特等席で眺めることこそが、彼の歪んだ復讐劇のクライマックスだったのです。

踊る大捜査線、新たなる希望のネタバレ!?:湾岸署、最後の戦い

全ての証拠と犯行計画の全貌が隠されているのは、犯人が用意したもう一台のバスの中でした。

青島たちは、警察の包囲網をかいくぐり、久瀬が待つバスへと向かいます。

バスの車内で対峙する青島と久瀬。

久瀬は、警察への絶望と、誰も自分を理解してくれなかった孤独を語ります。

彼は、青島に銃を向け、「お前も俺と同じだ」と、組織の中で正義を貫こうとして孤立する痛みを訴えかけます。

しかし、青島は屈しません。

彼は、久瀬の言う「正義」を「ただの独りよがりな復讐だ」と断じ、「仲間がいる」ことの強さを語ります。

その言葉を証明するかのように、バスの周囲には、制止を振り切って駆けつけたすみれ(深津絵リ)、真下(ユースケ・サンタマリア)、そして湾岸署の仲間たちが集結していました。

「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!」

シリーズを象徴するこの言葉が、最後の戦いで再び青島の口から放たれます。

それは、エリート官僚への反発だけでなく、孤独な犯罪者への痛切なメッセージでもありました。

絶望の淵にいた久瀬も、青島と彼を支える仲間たちの姿に、心が揺らぎます。

最終的に、鳥飼の指揮するSITがバスに突入。

鳥飼は、警察組織の威信を守るため、そして自らの過去に決着をつけるために、非情にも狙撃命令を下しますが、その寸前に青島は久瀬を確保。

事件は、湾岸署の刑事たちの手によって、最悪の結末を回避する形で幕を閉じました。

踊る大捜査線、新たなる希望のネタバレ!?:まとめ

事件解決後、青島は一連の行動の責任を取る形で辞表を提出します。

しかし、警察庁の上層部にまで昇進した室井は、その辞表を受理しませんでした。

彼は青島に「現場にはお前が必要だ」と告げます。

かつて「正しいことをしたければ、偉くなれ」と語った室井と、「現場の正義」を貫き通した青島。

立場は違えど、二人の目指す場所は同じだったのです。

ラストシーン、湾岸署の屋上で仲間たちと談笑する青島の姿が映し出されます。

恩田すみれとの関係も、恋人という形ではないものの、互いを唯一無二の存在として認め合う、これまで以上に強い絆で結ばれていました。

『踊る大捜査線 THE MOVIE FINAL』は、一人の犯罪者の逮捕劇であると同時に、青島俊作という男が15年間貫き通した「正義」が、決して間違いではなかったことを証明する物語でした。

そして、彼の想いが次の世代(和久伸次郎)へと受け継がれていく「新たなる希望」を描き、シリーズは感動的なフィナーレを迎えました。

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