「台風の仕組み・時期や種類・なぜ日本に来る?」すべて解説

毎年日本にやってきて大きな被害をもたらす台風。一体、どのような仕組みで誕生するのでしょうか。また、台風はなぜ日本に来るのか、台風の時期はなぜ夏から秋なのか、台風の種類とは何を基準にしているのか、といった台風に関する素朴な疑問について、わかりやすく解説します。

台風が生まれる仕組みとは?

台風が生まれるのは、赤道に近い北西太平洋の海上です。熱帯の暖かい海面からは、たくさんの水蒸気が立ち上って積乱雲(入道雲)という雲ができ、だんだん集まっていきます。そして、周辺の空気を巻き込んで「熱帯低気圧」という大きな渦を巻き始めます。

この熱帯低気圧が発達して、中心付近の気圧がどんどん下がると、熱帯低気圧に吹き込む風がどんどん強くなっていきます。そして、熱帯低気圧の中心付近の最大風速(10分間の平均)が毎秒17.2m以上に発達すると、「台風」と呼ばれます。

台風は、たくさんの積乱雲が集まって渦を巻いています。台風の下からは、風が反時計回りに中心へと吹き込んでいます。台風の中心は「目」と呼ばれていて、雲ができにくくなっているため雨や風が穏やかになります。

台風はなぜ日本に来るの?

赤道付近で生まれた台風は、赤道の上空を吹く「貿易風」と呼ばれる東風に乗り、太平洋高気圧の外周に沿って北西へと進みます。

少し進むと、今度は上空に「偏西風」という西風が吹いています。そのため、進路を北西から北東に変更して進みます。この北東へ進むとき、ちょうど台風の進路上に日本があります。そのため、台風が日本に来るのです。

台風の時期、なぜ夏から秋?

日本では、台風の時期といえば夏から初秋です。1991年から2020年までの30年間に、7月は平均0.6個、8月は平均0.9個、9月は平均1個の台風が上陸しました。

しかし、台風の発生自体は、ほぼ1年中起こっています。なぜ、台風が日本に来るのは、夏から秋が多いのでしょうか。

台風は、太平洋高気圧に進路を遮られて、高気圧の外周に沿って移動します。夏の日本列島は太平洋高気圧で覆われていますが、夏から秋にかけて太平洋高気圧の勢力が次第に弱まります。

秋になると、太平洋高気圧の外周がちょうど日本列島のあたりに来ます。そのため、台風が日本列島に接近・上陸しやすくなるのです。

台風の種類、何を基準にしているの?

テレビなどの台風情報で「大型で非常に強い台風」「猛烈な勢力」「超大型の台風」といった表現を見聞きします。これらは、何を基準にしているのでしょうか。

台風の大きさは、風速が毎秒15m以上の「強風域」の半径によって分類されます。大きい順に「超大型」「大型」「階級無し」の3段階があります。「超大型」の台風では北海道から九州まで強風域に入り、「大型」の台風では本州がまるごと強風域に入ります。

台風の強さは、最大風速(10分間平均風速)によって分類されます。強い順に「猛烈な」「非常に強い」「強い」「階級無し」の4段階があります。

ちなみに、台風の進路に示される「予報円」の大きさは、台風の大きさや強さを示しているように見えますが、実は全く無関係です。

予報円は、台風の中心が70%の確率で入ると予想される範囲を示しています。この円が小さいと予報の信頼度が高い、この円が大きいと予報の信頼度がまだ低いことがわかるのです。

台風の上陸、どの都道府県が多い?

1951年から2023年までの期間に台風が上陸した回数が多い都道府県ベスト3は、①鹿児島県43回、②高知県26回、③和歌山県25回となっています。

「1位は沖縄県じゃないの?」と思った方が多いのではないでしょうか。実は、沖縄県に台風が「上陸」したことは、一度もありません。

台風が、小さな島や半島を横切って短時間で再び海に出る場合は、「上陸」ではなく「通過」といいます。つまり、沖縄に台風が来るときは「通過」になるのです。

「上陸」とは、台風の中心が北海道、本州、四国、九州の海岸線に達する場合をさします。

台風は年間で平均25個発生し、そのうち平均11個が日本に接近、平均3個が日本に上陸します。

まとめ

台風は、たくさんの積乱雲が集まって渦を巻いています。台風の下からは、風が反時計回りに中心へと吹き込みます。赤道の上空を吹く「貿易風」に乗って北西へ進み、その後「偏西風」という西風のため進路を北東に変更。このとき台風の進路上に日本があるため、台風が日本に来ます。

台風の大きさは風速が毎秒15m以上の「強風域」の半径、台風の強さは最大風速(10分間平均風速)によって分類されます。

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