大正ロマン風の浴衣とは?レトロコーディネートについて解説

現代でも夏のイベントなどで着る機会が多い浴衣。

浴衣などの着物には、様々な色合いの模様や、花や生き物といったシンボルがデザインされていますが、時代によってそのデザインに特徴があるのをご存知でしょうか。

最近では特に、若い年齢層を中心に「大正ロマン風」の浴衣が注目されているようです。

今回の記事では、大正ロマン風のコーディネートについて解説したいと思います。

大正ロマン風の浴衣:大正ロマンとは?

着物界隈で注目されている「大正ロマン風」という言葉ですが、そもそも大正ロマンとは何を指すのでしょうか?

大正ロマン(大正浪漫)とは、明治時代末に文学・美術界で流行していた「ロマン主義(明治浪漫)」を拡大した言葉で、15年という短い期間でありながら激動の時代だった大正時代の、独特な趣の思潮や文化的特徴を指しています。

大正時代には西洋文化の流入が顕著に起きたため、思想だけでなく生活の至る所に他の時代には見られないような変化が現れました。

一般的に、この時代の文化は甘美・抒情的・ロマンチックといった印象があり、後世の人々の憧れの対象になりやすかったため、1970年前後に「大正ロマン」という言葉が広まることになったのです。

大正ロマン風の着物とは?

大正ロマンは、現代でも演劇や漫画作品などで取り上げられることが多く、その中で登場人物が着ている衣装のコーディネートが多くの人を惹きつけ、人気となっているようです。

例えば、ハイコントラストな柄の長羽織に行燈袴やブーツを履き、大きなリボンの髪飾りつけて日傘を差す姿などは、典型的な大正ロマン風のコーディネートです。

大正時代の初期頃は、まだ多くの女性層が普段着として着物を来ていたため、急速に普及しだした洋服文化と和装を混合させた、その時代にしかない特殊なスタイルが誕生することになりました。

大正ロマン風の浴衣:コーディネートに使われるアイテム

大正ロマン風の着物は、レンタル着物店などでは「アンティーク調着物」というカテゴリで取り扱われています。

浴衣は、着物の中で最も廉価なアイテムなので、気軽にコーディネートを楽しむことができるでしょう。

ここでは、大正ロマン風の浴衣コーディネートに使われるアイテムをご紹介いたします。

浴衣

まずはメインとなる浴衣ですが、大正ロマン風の浴衣は柄のデザインに特徴があります。

多くは「レトロ柄」とも表記される、大正後期~昭和初期頃に流行したデザインが使われた浴衣になります。

柄の特徴を挙げると、以下のようなものですね。

・花柄:大きな柄で大胆な色使い。華やかだが派手すぎず、自然な気品や上品さがある。
・矢絣(やがすり):矢羽の模様を表した絣柄。袴・ブーツとのセットで大正ロマンを表す代表的な柄。
・市松模様:格子模様の一つで、二色の四角形が交互に並んだ模様。幅広い年齢層に合う。
・ストライプ:はっきりと色が分かれた縦縞模様が、大正ロマンを感じさせる。

大正時代には、バラ・蘭・百合などの洋花も輸入され、その形が着物のデザインに取り入れられたほか、円・正方形・三角形などで構成された幾何学模様を使ったデザインも流行しました。

行燈袴(あんどんばかま)

行燈袴とは、馬乗り袴のように腰板がついておらず股が割れていない、スカートのような形状をした袴のことです。

大正ロマン風のコーディネートと言う時に、矢絣柄の着物と行燈袴の組み合わせがよく挙げられます。

『ハイカラスタイル』などと呼ばれたりもするこのコーディネートは、実は明治時代中期には、現在の学習院である華族女学校で制服として採用されていたそうです。

現代の卒業式にこのコーディネートに身を包む学生さんが多いのは、こうした背景があるからなのかもしれませんね。

色は高彩度で暗めのディープカラーが好まれ、基本は無地ですが、グラデーション生地や、花柄などのワンポイントが入ったデザインなどもあります。

ブーツ

ハイカラスタイルのコーディネートをする時に欠かせないのがブーツです。

袴にブーツを合わせると、草履に比べて歩きやすくなったり、脚を長く見せる効果が高まるため、人気となっているアイテムの一つです。

ブーツは袴で隠れる部分が多く、形状は特に決まっていませんので、機能性が良いものを選ぶと良いでしょう。

トーク帽

トーク帽とは、頭に乗せる浅い円筒形の帽子です。

中世の貴族が使っていた帽子が起源で、現代では皇族やファーストレディなどが冠婚葬祭時に使用することが多いです。

チュールやレースなどの薄い布(ベール)が付いたものなどがあり、エレガントな印象を与えます。

レトロバッグ

大正ロマン風のコーディネートには、バッグなどの小物を合わせるのも効果的です。

浴衣に合うカゴバッグや、がま口バッグなどの和装バッグがその代表と言えるでしょう。

浴衣の柄に合った華やかな柄のバッグを合わせてみましょう。

大正ロマン風の浴衣:ヘアスタイルとメイク

大正ロマン風のコーディネイトは衣装だけでなく、ヘアスタイルやメイクを合わせるとさらに効果的です。

ここでは、大正ロマン風のコーディネートに合うヘアスタイルやメイクをご紹介いたします。

大正ロマン風のヘアスタイル

大正ロマンをうまく演出するために、当時流行した髪型を参考にしてみましょう。

大正ロマン風の浴衣に合うヘアスタイルをいくつかご紹介いたします。

ハーフアップ

大正ロマン風コーディネートの代名詞、ハイカラスタイルと言えば袴に大きなリボンをつけたハーフアップの髪型が有名です。

髪が長い方であれば、ハーフアップにしてみてはいかがでしょうか。

襟足の髪を巻いて動きを出すなどのアレンジをしても良いでしょう。

内巻きボブ

大正時代に流行した髪型の一つが毛先を内巻きにしたボブヘアです。

短くシンプルな髪型に、派手なカチューシャや髪飾り、帽子といったアクセサリを施すのも、レトロなコーディネートにはうってつけです。

内巻きボブはどんなスタイルにも合わせやすく、髪が短い方におすすめです。

フィンガーウェーブ(マルセルウェーブ)

昔の時代を描いた洋画などでもよく見かける、華やかで大人っぽい髪型がフィンガーウェーブです。

フィンガーウェーブは、アメリカでヘアアイロンが誕生した1930年代に、当時のセレブリティや映画界などを中心に広まりました。

水やスタイリングスプレーなどを使い、指と櫛で髪にウェーブをかけて作りますが、髪質が硬い日本人だと難しいことが多いです。

フードドライヤーを使っているサロンであればうまく作ってもらえるでしょう。

外国人風の仕上がりになるので、洋風の雰囲気の小物を合わせるのがおすすめです。

耳隠し

耳隠しは、前髪を七三に分けるなどしてサイドに髪を流し、大きなウェーブを付けて耳を隠すまとめ髪の方法です。

上品で大人っぽい雰囲気が出るので、レトロな雰囲気の大正ロマン風浴衣と相性が良いでしょう。

後ろ髪のまとめ方や髪飾りの合わせ方は自由なので、自分好みのアレンジを楽しんでみて下さいね。

大正ロマン風のメイク

大正ロマン風のコーディネートに合うメイクもあります。

イメージとしては、儚く物憂げな雰囲気が出るように意識してみて下さい。

メイク仕上げのポイントをいくつか上げてみますので、参考にしてみて下さいね。

・透明感・ツヤ感があるベースメイクに仕上げる
・頬の高い位置に赤系チークで血色感を出す
・ベージュ~ピンク系の淡いアイシャドウを入れる
・リップは縁をぼかしてグラデーション仕上げ

メイクでも雰囲気を演出し、大正ロマン風コーディネートをより楽しみましょう。

大正ロマン風の浴衣:まとめ

いかがだったでしょうか。

浴衣などの着物には洋服にはない独特の魅力がありますが、洋服と混ぜてしまおうという発想はなかなか出てこないですよね。

急速な文明の変化を柔軟に受け入れつつ、着物と洋服をかけ合わせることで後世にも評価されるような斬新なコーディネートを生み出した当時の人達はすごいですね。

今回は、大正ロマン風のコーディネートについて解説させていただきました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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