「かくりよの宿飯」あやかしお宿の後日談

「かくりよの宿飯」の後日談として書かれた「あやかしお宿の十二ヶ月」では、かくりよ（隠世）での穏やかで心温まる1年間を描いています。

大旦那様と結婚した葵、そして天神屋の仲間たちが、季節ごとに見せる成長や人間模様が詰まった、何気ない日常がつづられています。

かくりよの4月

葵と大旦那様の宝探し

葵と大旦那様の関係は、結婚後もどこかぎこちなさが残っていました。

祖父が遺した「お宝」の手がかりをもとに、葵と大旦那様は宝探しをすることになります。宝探しを通じて、葵は大旦那様の隠された優しさや遊び心を発見します。

宝探しに込められたもの

祖父が隠したという「お宝」は、実際には物ではなく葵への思いを込めたものでした。

大旦那様は、そのことを察しながらも宝探しを提案し、葵に新しい発見と喜びを提供します。

この宝探しは単なる遊びではなく、二人の絆を深めるための大旦那様の計らいだったのでしょう。

かくりよの5月

葵が切り盛りする「夕がお」の現状

葵が切り盛りする「夕がお」は繁盛しつつあります。しかし、常世の素材を調達する難しさや、客層の変化など課題も山積みです。

葵は、そのすべてに柔軟に対応しながら、天神屋の仲間たちの協力を得て新しいメニューやサービスを展開していきます。

葵にとって大旦那様の支えが大きな力となっていることが、随所で描かれています。

アスパラ派vsたけのこ派の夫婦喧嘩

お涼と暁夫婦の「アスパラ派」と「たけのこ派」に関する夫婦喧嘩も描かれています。

最終的には、双方が互いの好みを尊重し合い、関係性の深まりを感じさせる展開となっています。

かくりよの6月

納豆トーストが導いた再会

葵が用意した「納豆トースト」は、その香りと味が注目を集め、再会の場を演出します。

独特な発想から生まれる料理が、物語の中で重要な役割を果たすのが特徴的です。

手鞠河童チビの旅

手鞠河童のチビが旅に出る理由が明かされ、彼の成長が物語の軸となっています。

葵とチビの別れの場面では、互いの絆の強さが感じられ、涙を誘います。

かくりよの7月

かくりよでもタピオカブーム

現世で一世を風靡した「タピオカ」が中心のエピソードです。南の地から仕入れたタピオカを使い、葵は天神屋に新しいメニューを提案します。

独自のアレンジを加えたタピオカ入りのスイーツやドリンクは、天神屋の従業員たちにも好評でした。

葵の創意工夫が、かくりよの食文化に新しい風を吹き込みます。

かくりよの発展に繋がる取り組み

タピオカを扱う過程で、葵は南の地の商人たちとの協力を深めます。

その取り組みは単なるブームに留まらず、葵自身がかくりよの未来を見据えた挑戦であることが描かれています。

かくりよの8月

幽霊騒ぎの背後にみえるもの

かくりよに夏が訪れると、天神屋の裏庭に白い影が現れるとの噂が広まり、仲間たちは興味津々で真相を探ります。

白夜と葵が協力して調査を進めると、幽霊の正体は天神屋に深く関わる存在であることが明らかになります。単なる怪談話ではなく、過去の出来事や人々の思いが絡み合った物語が展開されます。

白夜の抱えていた思い

幽霊騒ぎをきっかけに、普段は冷静で穏やかな白夜が抱える孤独や過去の記憶が、少しずつ明かされます。

葵との会話を通じて、白夜が誰にも言えなかったの心の内を感じ取ることができ、彼が少しずつ心を開いていく様子が描かれています。

かくりよの9月

かくりよと常世のつながりを探る

かくりよの課題を解決するため、葵は大旦那様に同行する形で常世の薬屋を訪問します。

薬屋の主人は大旦那様にとって頼れる存在で、新しい薬の開発を進める過程でかくりよの未来に関わる重要な話題が浮上します。

九尾の狐と銀次の過去

薬屋での会話を通じて、九尾の狐を巡る秘密が語られ、銀次がただの従者ではないことが示唆されます。

銀次の生い立ちや背負っている運命、彼の覚悟や選択に隠された真実が垣間見られます。

かくりよの10月

翡翠の失意を癒した葵の料理

天神屋の男性従業員たちが噂する儚げな美女、かわせみのあやかしである翡翠（ひすい）が登場します。

失恋と噂に傷つき、すべてに対して無気力になった翡翠を救ったのは、葵の真心こもった料理でした。

反之介の成長と天神屋の変化

翡翠をめぐる騒動の中で、反之介をはじめとする天神屋の男性従業員たちの成長が描かれます。

葵が中心となり、天神屋全体がより温かい場所になっていることが感じられます。

かくりよの11月

南の地で語られる二人の過去

銀次と乱丸が南の地で再会し、かくりよで過ごした時間や互いの役割について語り合います。

二人の会話から、それぞれが背負う宿命や、かくりよと常世をつなぐ役割の重要性が明らかになります。

銀次の選択に見る隠世の未来

そして銀次は、ある覚悟を見せます。葵への思い、天神屋への思いを胸に秘めつつ、彼が選んだ道とは・・・

かくりよの12月

翡翠との縁談

年の瀬が近づくとともに、朱門山に住む天狗たちの物語が動き出します。長兄の葉澄を中心に、新旧の天狗たちが交わる中で、葉鳥の役割が大きな意味を持ち始めます。

また、翡翠との縁談が、朱門山の未来を変えるきっかけとなることが示唆されています。

葉鳥と翡翠の不器用な交流

翡翠とのやり取りで見せる葉鳥の不器用な一面は微笑ましいものでした。お互いに不慣れながらも次第に惹かれ合う二人の姿は、未来への希望を感じさせます。

葵も、陰ながら二人を見守り、支えます。

かくりよの1月

葵の初夢に現れる祖父の影

新年を迎えた天神屋では、かくりよならではの穏やかで趣深い正月の風景が描かれます。

新年早々、葵は祖父の夢を見ます。夢の中で、祖父が遺した教えや想いを改めて感じ取り、葵自身の決意がより一層強まります。

新年の願い

天神屋で行われる新年の儀式では、葵が願う「平和な日々」と「仲間たちの幸せ」が象徴的に描かれます。

大旦那様をはじめとする天神屋の仲間たちも、それぞれの願いを胸に秘めながら新年を迎えます。

かくりよの2月

春日との再会と北の国の現状

2月には、北の国から訪れた春日が天神屋に笑顔と贈り物を届けます。名産である蟹を使った料理を通じて、葵と春日の友情やかくりよの文化が垣間見られます。

北の地で厳しい生活を送る春日が、天神屋を訪れることで一時の安らぎを得る様子が描かれます。

蟹クリームコロッケに込めた感謝

春日が持参した蟹を使い、葵は心を込めて蟹クリームコロッケを作りました。そのおいしさは、春日だけでなく天神屋の仲間たちにも幸せを届けます。

料理を通じて人々を繋げる葵の才能が際立つエピソードです。

かくりよの3月

人間とあやかしの共存を考える

律子との交流や別れを通じて、葵はあやかしと人間が共に歩む道を深く考えるようになります。

彼女が持つ優しさと強さが、かくりよの未来を支える希望であることが感じられます。

この章では、律子の生き方が葵に与えた影響が強く描かれています。

葵の成長と大旦那様との絆

律子との別れをきっかけに、葵はさらに大人へと成長します。

大旦那様との関係も深まり、互いの絆が新たな形で結ばれます。