テレビ東京系列で長年にわたって放送されている人気ドラマ『孤独のグルメ』は、主人公・井之頭五郎(演:松重豊)が仕事の合間に立ち寄る飲食店で、孤独ながらも心を満たす“食”の時間を描いた作品です。
そのリアルで親しみのある食事シーンは多くの視聴者の心をつかみ、放送後には「聖地巡礼」としてロケ地になった店舗を訪れるファンが後を絶ちませんでした。
しかし、どんなに人気を博しても、時の流れには逆らえないもの。
コロナ禍や建物の老朽化、店主の高齢化など、さまざまな事情で惜しまれながらも閉店してしまった名店も数多く存在します。
本記事では、特に印象に残る「孤独のグルメ」に登場した店舗の中から、すでに閉店したお店をいくつか紹介し、思い出とともに振り返ります。
中野区鷺宮にある
とんかつ「みやこや」さん。孤独のグルメでも紹介された
地元人気店。16日、本日で閉店です。
25年くらい前の上京した際に
毎週のようにお世話になってました。地域に愛されて43年(確か?)
最終日の前日だけど
当時一緒に通ってた親友も
広島から来てくれて… pic.twitter.com/9pEzXfhoRS— コウ (@KOWAKEARI) February 16, 2025
孤独のグルメ、惜しまれつつも閉店したお店たち:痺れる辛さと香ばしさ…これはクセになる!
五郎さんが初めて“汁なし担々麺”を食べるシーンとして、視聴者にも大きなインパクトを与えた池袋の名店「楊 2号店」。
山椒の刺激とゴマの香りが絶妙に絡み合った担々麺は、一度食べれば忘れられない味として話題になりました。
このお店は長らく人気を博していましたが、2021年末、建物の老朽化と賃貸契約満了により惜しまれながら閉店。
現在は系列店の「楊 本店」が池袋の別の場所で営業を続けていますが、2号店独自の雰囲気を懐かしむ声はいまだ多く聞かれます。
孤独のグルメ、惜しまれつつも閉店したお店たち:杉並区 西荻窪のカキのオムレツとチーズ
五郎がふらりと入った小さなビストロ「プチマルシェ」。
静かな住宅街にひっそりと佇む同店では、牡蠣のオムレツやサラミとチーズの盛り合わせなど、ワインに合う欧風小皿料理が印象的でした。
西荻窪のこの名店も、2020年に店主の体調不良を理由に閉店。
放送以降、多くのファンが訪れ、ネット上では「ここで一人飲みを覚えた」「また行きたかった」と惜しむ声が絶えません。
孤独のグルメ、惜しまれつつも閉店したお店たち:中野区 沼袋のわさび丼
わさび丼、鶏レバー、どて煮、そしてもつ焼き。酒好きの五郎が珍しく「これは飲みたくなる」とつぶやいた、沼袋の老舗「山利喜分店」。
本店と分店が分かれていたこの店舗は、元々本店から暖簾分けされた由緒ある店でした。
しかし、2021年に分店の店主が引退を決意。建物の老朽化も進み、閉店を余儀なくされました。
現在も本店(森下)は営業中ですが、分店特有の家庭的な空間を惜しむ常連も多く、SNSでは「分店で初めてレバーの旨さを知った」と感慨深く語る投稿が多数見られます。
孤独のグルメ、惜しまれつつも閉店したお店たち:目黒区 駒場東大前のマッシュルームガーリック
木造平屋の佇まいが郷愁を誘う、老舗洋食店「つかんと」。
肉厚でジューシーなハンバーグや、パンにたっぷり乗せたマッシュルームガーリックなど、どれもが五郎を唸らせたメニューでした。
2022年に建物の老朽化と店主の高齢を理由に閉店。
SNSでは、「まさに昭和の洋食そのものだった」、「あのマッシュルームがもう一度食べたい」と惜しむ声が多数寄せられました。
孤独のグルメ、惜しまれつつも閉店したお店たち:時代の流れとともに失われていく「味の記憶」
『孤独のグルメ』で取り上げられる飲食店の多くは、チェーン店ではなく、家族経営や個人経営の小さなお店が中心です。
それが故に、時代の波、特に新型コロナウイルスの影響や高齢化、後継者不足といった問題に直面し、惜しまれながらも閉店してしまうことは避けがたい現実です。
ただ、彼らの「味」や「空間」は、ドラマという形で永遠に記録され、私たちの記憶の中に生き続けています。
放送を見返すたびに、「あの味をもう一度」と思い出す視聴者も多いでしょう。
孤独のグルメ、惜しまれつつも閉店したお店たち:まとめ
「もう一度、あのお店で食べたい」、その願いが叶わないこともある一方で、『孤独のグルメ』は新たな店舗との出会いも提供してくれます。
だからこそ、今営業しているお店を訪れ、その場その場で味わうことの大切さを再認識させてくれる作品とも言えるでしょう。
今後も五郎さんは全国各地の名店を巡り続けるはずです。
その中で出会う一皿一皿が、また誰かの「思い出の味」になる日が来ることでしょう。
注:店舗の最新情報は各自でお調べください。
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