『孤独のグルメ』は、松重豊演じる井之頭五郎が、日本各地を仕事で訪れ、そこでふと立ち寄った食堂や小料理屋で一人の食事を楽しむという異色のグルメドラマだ。
都市部の喧騒から離れた地方の回では、その土地ならではの文化や人情、美食が丁寧に描かれる。
そんな中でも、信州・長野県を舞台にした回は、自然に囲まれた風景と素朴で深い味わいの料理が相まって、ファンの間で特に印象的とされている。
今回は、番組で紹介された長野県のロケ地を巡りながら、その魅力に迫る。
孤独のグルメでも登場し、長野県伊那市でしか食べる機会がないという名物「ローメン」を食べました。
見た目焼きそば(スープ麺として作る場合もある)ですが、太めの中華麺とラム肉と炒め野菜という珍しいレシピ。セットも豚のモツ煮やおでんと見ない組み合わせ。
食べ応えありました。
ごちそうさま。 pic.twitter.com/1bSHc1UFiU— 猫間川よしを (@yoshiwo2006) April 9, 2022
孤独のグルメ、静寂と美食が共存する長野県のロケ地を巡る:長野市で出会った山の中の定食屋
井之頭五郎が訪れたのは、長野県長野市にある「山の中の定食屋」。
実在の店「かどや食堂」がモデルになったと言われている。
場所は中心部から少し離れた場所にあり、木造の素朴な店構えが印象的だ。
この回で五郎が頼んだのは、「もつ煮込み定食」と「野沢菜漬け」。
濃い目の味付けのもつ煮込みは、地元産の味噌を使いながらも油っぽさを感じさせない仕上がりで、まさに「ご飯が止まらない味」。
そして、添えられた野沢菜の塩加減とパリッとした食感は、信州の漬物文化を象徴する。
番組内で五郎は「なんてことない食堂で、なんてことある満足感」とつぶやいたが、これは長野という土地が持つ、質実剛健な食文化への賛辞でもあるだろう。
孤独のグルメ、静寂と美食が共存する長野県のロケ地を巡る:松本市の居酒屋で味合う
五郎が松本市に仕事で訪れ、地元の小さな居酒屋「信州の味 まるやま」で食事をする様子が描かれた。
この回の注目は、地元の山菜や川魚、そして長野ならではの馬刺し料理だ。
五郎が注文したのは「岩魚の塩焼き」「山ウドの酢味噌和え」「馬刺し盛り合わせ」。
特に馬刺しは、脂の乗った部位と赤身のコントラストが絶妙で、わさび醤油との相性も抜群。
信州では熊本に次いで馬肉文化が根付いており、こうした食材が日常的に楽しめることに五郎も感動していた。
また、山ウドの酢味噌和えのような一品料理にも、地元の野菜を活かした季節感が感じられ、旅の疲れを癒す優しさがある。
松本の城下町らしい落ち着いた雰囲気と、居酒屋のあたたかさが相まって、視聴者の心にも深く残る回となった。
孤独のグルメ、静寂と美食が共存する長野県のロケ地を巡る:上田市での蕎麦ランチ
長野県といえば、やはり「蕎麦」は外せない。
上田市を舞台に、五郎が老舗の蕎麦屋を訪れる。
この回のモデルになったのは、上田市郊外にある「刀屋」という実在の店。
特徴的なのはそのボリュームで、五郎が頼んだ「もりそば(中)」でも一般的な大盛りサイズ。
太めの蕎麦は噛み応えがあり、香り高いそばつゆと相まって、ひと口ごとに田舎の風景が広がる。
さらに、そばと一緒に提供される「くるみだれ」や「とろろ」なども、信州蕎麦ならでは。
五郎が黙々とそばを手繰る姿には、食べるという行為に集中する彼の美学が垣間見える。
孤独じゃないグルメ(信州・上田)お昼ごはんは信州そば。並ぶのを覚悟で刀屋へ。11時の開店前に着くも、既に長蛇の列。1時間並んで店内へ。天ぷらざるそばの普通盛り。黒く太い田舎そば。途中でつゆに辛味噌を溶かして味変。いと旨し。#上田グルメ #信州そば #天ざるそば #刀屋 pic.twitter.com/FGbSYjffyE
— 路庵 (@kitanjp) April 12, 2025
孤独のグルメ、静寂と美食が共存する長野県のロケ地を巡る:軽井沢で味わう洋食
観光地としても有名な軽井沢も、実は『孤独のグルメ』の舞台となっている。
避暑地として賑わう軽井沢で、五郎がふと立ち寄った洋食屋が舞台。
この回のメイン料理は「ポークジンジャー定食」と「コンソメスープ」。
避暑地ならではの洋食文化を背景に、地元産の豚肉と生姜を使ったジューシーな一皿に、五郎は思わず「これは…ホテルの味だ」と感嘆する。
また、セットのコンソメスープやサラダにも丁寧な仕事が施されており、観光地=高級・観光向けという先入観を良い意味で覆す内容となっていた。
実際に軽井沢には、隠れた名店が多く、地元の食材を用いた洋食やフレンチが点在する。
孤独のグルメ、静寂と美食が共存する長野県のロケ地を巡る:五郎の旅から学ぶ、長野の本質
長野県の『孤独のグルメ』ロケ地を巡ってわかるのは、「華やかさ」よりも「滋味深さ」がこの地の魅力だということだ。
山間の静かな町や、歴史ある温泉街、農村部に点在する食堂。
いずれの回でも、五郎が出会うのは決して派手な料理ではない。
しかし、それこそが信州の「日常のごちそう」なのである。
土地の気候風土が育んだ素材を、手間を惜しまずに仕込んだ料理たち。
シンプルながらも記憶に残る味。
それに心を動かされる五郎の姿は、視聴者自身の「旅と食の原体験」にも重なる。
孤独のグルメ、静寂と美食が共存する長野県のロケ地を巡る:まとめ
もし次に長野を訪れる機会があれば、『孤独のグルメ』のロケ地を巡る旅はいかがだろうか。
地図や観光ガイドには載っていない、小さな定食屋や居酒屋で、地元の人たちに混じってひとりご飯を楽しむ。
そんな旅には、五郎が体験したような小さな発見と満足感が詰まっている。
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