深夜食堂にロケ地ってあるの?

ドラマ

都会の片隅にひっそりと佇み、深夜0時から朝7時まで営業する不思議な食堂「めしや」。

マスターが作る懐かしくて美味しい料理と、そこに集う人々の人間模様が、私たちの心を温めてくれるドラマ『深夜食堂』。

物語に引き込まれるほどに、多くの人がこう思うのではないでしょうか。

「あの『めしや』は、どこかにあるのだろうか?」

「いつか訪れて、マスターに『豚汁定食』を注文してみたい」

あの赤提灯が灯る店構え、昭和の香りが漂う路地裏。

もし本当に存在するのなら、一度は聖地巡礼してみたい。

そんなファンの切なる願いを、この記事で解き明かしていきます。

結論から始まり、その背景、そして「深夜食堂」の世界観を体験できる場所まで、段階的にご紹介します。

深夜食堂にロケ地ってあるの?:結論「めしや」はセット。しかし、魂の場所は実在する

いきなり夢を壊すようで恐縮ですが、あの「めしや」というお店は実在しません。

ドラマの撮影は、撮影所内に作り込まれた精巧なセットで行われています。

カウンターだけの小さな店内、壁に貼られた品書き、使い込まれた調理器具や食器。

あの独特の温かい空気感は、美術スタッフのこだわりと、長年の撮影で染みついた「記憶」によって生み出された、奇跡の空間なのです。

考えてみれば、撮影機材を運び込み、何時間も撮影を行うことを考えると、実在の店舗を借り切るのは非常に困難です。

セットだからこそ、カメラアングルを自在に変え、俳優たちの繊細な表情や、湯気の立つ料理を最高の形で切り取ることができるのです。

「なんだ、やっぱりセットか…」と落胆されたかもしれません。

しかし、話はここで終わりません。

あの「めしや」が息づく街の雰囲気には、明確なモデルが存在するのです。

深夜食堂にロケ地ってあるの?:新宿ゴールデン街という「聖地」

「めしや」が佇む、あの雑多で、どこか懐かしい路地裏の風景。

そのモデルとなったのが、東京・新宿の「新宿ゴールデン街」です。

ドラマのオープニング映像を思い出してください。

ネオンきらめく大通りから、一本路地に入った瞬間に広がる、提灯の灯りが連なる光景。

あの映像の多くは、新宿ゴールデン街とその周辺で撮影されています。

新宿ゴールデン街とは?

新宿ゴールデン街は、戦後の闇市から発展した飲食店街です。

狭い区画に、200軒以上もの小さなバーやスナックが密集しており、木造の長屋が連なる光景は、まるで昭和時代にタイムスリップしたかのよう。

作家や映画監督、俳優といった文化人たちが夜な夜な集い、熱い議論を交わした場所としても知られ、独特の文化を育んできました。

一見さんお断りのような雰囲気を醸し出す店もありますが、近年は若い世代や外国人観光客にも開かれた店が増え、多様な人々を受け入れる懐の深さを持っています。

この「古き良き昭和の香り」と「様々な過去を持つ人々が集う場所」という特性が、『深夜食堂』の世界観と見事に合致するのです。

なぜゴールデン街がモデルになったのか

この結びつきは、単なる偶然ではありません。

原作者である安倍夜郎氏が、この新宿ゴールデン街を深く愛し、通い詰めていたことが大きく関係しています。

安倍氏自身、かつてはCMディレクターとして働きながら、漫画家になる夢を追いかけていました。

仕事帰りにゴールデン街のバーに立ち寄り、そこに集う人々の会話に耳を傾け、人間観察をしながら作品の構想を練っていたといいます。

カウンター越しに交わされる、他愛のない会話。

誰かがふと漏らす、人生の悲哀や喜び。そうしたゴールデン街の日常こそが、『深夜食堂』の心温まるエピソードの源流となっているのです。

つまり、「めしや」は物理的にはセットですが、その精神、物語の魂は、新宿ゴールデン街に深く根ざしていると言えるでしょう。

「深夜食堂」の世界を体験するには?

「めしや」は存在しなくても、あの雰囲気を味わうことは可能です。聖地巡礼として、ぜひ一度、新宿ゴールデン街に足を運んでみてください。

夕暮れ時、ひとつ、またひとつと店の灯りがともり始めると、街は一気に『深夜食堂』のオープニングのような表情を見せます。

細い路地を歩けば、どこかからか楽しそうな笑い声や、カラオケの音が漏れ聞こえてくるでしょう。

勇気を出して一軒の扉を開ければ、そこには優しいマスターやママがいて、隣り合った客と自然に会話が始まるかもしれません。

もちろん、ドラマのように「できるもんなら何でも作るよ」という店は稀ですが、心づくしの一品料理と美味しいお酒で、温かく迎えてくれるお店はたくさんあります

深夜食堂にロケ地ってあるの?:まとめ

『深夜食堂』のロケ地探訪は、少し特殊な旅になります。

目的地である「めしや」は存在しないけれど、その魂が生まれた場所、新宿ゴールデン街を訪れることで、物語の世界観をより深く感じることができるからです。

路地裏を照らす提灯の灯りの下には、ドラマと同じように、日々の疲れを癒しにきた人々が集っています。

そこには、語られることのない無数の物語が眠っているはずです。

新宿ゴールデン街を歩き、あなただけの「深夜食堂」と呼べるような、心安らぐ一軒を見つけてみてはいかがでしょうか。

そこで出会う人々や、味わう一杯のお酒が、あなたの人生にとって忘れられない思い出になるかもしれません。

「さて、今夜は何を食べようか。」そんなマスターの声が、どこからか聞こえてくるような気がしませんか。

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