都会の片隅にひっそりと佇み、深夜0時から朝7時まで営業する不思議な食堂「めしや」。
マスターが作る懐かしくて美味しい料理と、そこに集う人々の人間模様が、私たちの心を温めてくれるドラマ『深夜食堂』。
物語に引き込まれるほどに、多くの人がこう思うのではないでしょうか。
「あの『めしや』は、どこかにあるのだろうか?」
「いつか訪れて、マスターに『豚汁定食』を注文してみたい」
あの赤提灯が灯る店構え、昭和の香りが漂う路地裏。
もし本当に存在するのなら、一度は聖地巡礼してみたい。
そんなファンの切なる願いを、この記事で解き明かしていきます。
結論から始まり、その背景、そして「深夜食堂」の世界観を体験できる場所まで、段階的にご紹介します。
Amazon/primeで小林薫主演の「深夜食堂」を視聴
新宿ゴールデン街の一角に深夜だけ営業する
食堂。夜な夜な行きかう街の人の
一寸した人生を見つめる主人の物語店は基本メニューは豚汁定食のみであとは
客が食べたいものを提供するのだが
ウインナー炒めやバターライスやらが
すげえ旨そうで良作☺ pic.twitter.com/wbh2wb7JKj— たく@女装 女装修行中 (@originalme35) July 2, 2025
深夜食堂にロケ地ってあるの?:結論「めしや」はセット。しかし、魂の場所は実在する
いきなり夢を壊すようで恐縮ですが、あの「めしや」というお店は実在しません。
ドラマの撮影は、撮影所内に作り込まれた精巧なセットで行われています。
カウンターだけの小さな店内、壁に貼られた品書き、使い込まれた調理器具や食器。
あの独特の温かい空気感は、美術スタッフのこだわりと、長年の撮影で染みついた「記憶」によって生み出された、奇跡の空間なのです。
考えてみれば、撮影機材を運び込み、何時間も撮影を行うことを考えると、実在の店舗を借り切るのは非常に困難です。
セットだからこそ、カメラアングルを自在に変え、俳優たちの繊細な表情や、湯気の立つ料理を最高の形で切り取ることができるのです。
「なんだ、やっぱりセットか…」と落胆されたかもしれません。
しかし、話はここで終わりません。
あの「めしや」が息づく街の雰囲気には、明確なモデルが存在するのです。
そうなんだよねぇ。この前久々にゴールデン街の知りあいの店行ったら、メニューが全部英語に変わってた。入れ替わり立ち代わり入ってくるのも外国人ばかり🍻
海外でも深夜食堂がすごく人気なのもゴールデン街に来る理由って聞いた。 pic.twitter.com/4EmXTEd0Da— 筧真帆 / 마호 (@mahoow) May 5, 2018
深夜食堂にロケ地ってあるの?:新宿ゴールデン街という「聖地」
「めしや」が佇む、あの雑多で、どこか懐かしい路地裏の風景。
そのモデルとなったのが、東京・新宿の「新宿ゴールデン街」です。
ドラマのオープニング映像を思い出してください。
ネオンきらめく大通りから、一本路地に入った瞬間に広がる、提灯の灯りが連なる光景。
あの映像の多くは、新宿ゴールデン街とその周辺で撮影されています。
新宿ゴールデン街とは?
新宿ゴールデン街は、戦後の闇市から発展した飲食店街です。
狭い区画に、200軒以上もの小さなバーやスナックが密集しており、木造の長屋が連なる光景は、まるで昭和時代にタイムスリップしたかのよう。
作家や映画監督、俳優といった文化人たちが夜な夜な集い、熱い議論を交わした場所としても知られ、独特の文化を育んできました。
一見さんお断りのような雰囲気を醸し出す店もありますが、近年は若い世代や外国人観光客にも開かれた店が増え、多様な人々を受け入れる懐の深さを持っています。
この「古き良き昭和の香り」と「様々な過去を持つ人々が集う場所」という特性が、『深夜食堂』の世界観と見事に合致するのです。
なぜゴールデン街がモデルになったのか
この結びつきは、単なる偶然ではありません。
原作者である安倍夜郎氏が、この新宿ゴールデン街を深く愛し、通い詰めていたことが大きく関係しています。
安倍氏自身、かつてはCMディレクターとして働きながら、漫画家になる夢を追いかけていました。
仕事帰りにゴールデン街のバーに立ち寄り、そこに集う人々の会話に耳を傾け、人間観察をしながら作品の構想を練っていたといいます。
カウンター越しに交わされる、他愛のない会話。
誰かがふと漏らす、人生の悲哀や喜び。そうしたゴールデン街の日常こそが、『深夜食堂』の心温まるエピソードの源流となっているのです。
つまり、「めしや」は物理的にはセットですが、その精神、物語の魂は、新宿ゴールデン街に深く根ざしていると言えるでしょう。
「深夜食堂」の世界を体験するには?
「めしや」は存在しなくても、あの雰囲気を味わうことは可能です。聖地巡礼として、ぜひ一度、新宿ゴールデン街に足を運んでみてください。
夕暮れ時、ひとつ、またひとつと店の灯りがともり始めると、街は一気に『深夜食堂』のオープニングのような表情を見せます。
細い路地を歩けば、どこかからか楽しそうな笑い声や、カラオケの音が漏れ聞こえてくるでしょう。
勇気を出して一軒の扉を開ければ、そこには優しいマスターやママがいて、隣り合った客と自然に会話が始まるかもしれません。
もちろん、ドラマのように「できるもんなら何でも作るよ」という店は稀ですが、心づくしの一品料理と美味しいお酒で、温かく迎えてくれるお店はたくさんあります
深夜食堂にロケ地ってあるの?:まとめ
『深夜食堂』のロケ地探訪は、少し特殊な旅になります。
目的地である「めしや」は存在しないけれど、その魂が生まれた場所、新宿ゴールデン街を訪れることで、物語の世界観をより深く感じることができるからです。
路地裏を照らす提灯の灯りの下には、ドラマと同じように、日々の疲れを癒しにきた人々が集っています。
そこには、語られることのない無数の物語が眠っているはずです。
新宿ゴールデン街を歩き、あなただけの「深夜食堂」と呼べるような、心安らぐ一軒を見つけてみてはいかがでしょうか。
そこで出会う人々や、味わう一杯のお酒が、あなたの人生にとって忘れられない思い出になるかもしれません。
「さて、今夜は何を食べようか。」そんなマスターの声が、どこからか聞こえてくるような気がしませんか。
コメント