「踊る大捜査線」が、単なる刑事ドラマの枠を超えて社会現象とまでなったのは、事件の面白さだけでなく、そこで描かれる「組織と個人」の生々しい葛藤があったからです。
そして、その葛藤を象徴し、作品全体の「魂」とも言えるのが、ベテラン刑事・和久平八郎(演:いかりや長介)が、主人公・青島俊作(演:織田裕二)に投げかけたこの言葉です。
「正しいことをしたかったら、偉くなれ」
一見、理想に燃える若者をいさめる現実的な言葉のようにも聞こえます。
しかし、この短いセリフには、警察という巨大組織の不条理と、それでも正義を貫こうとする者への、痛切なエールが込められています。
本記事では、この名言を論理的に深掘りし、なぜ今も私たちの心を打ち続けるのかを考察します。
サラリーマンをしていると理不尽なことだらけだけど、昔『踊る大捜査線』で和久さんが青島刑事に言った「正しいことをしたかったら偉くなれ」という言葉が踏ん張りどころを作ってくれている🥺
あぁでも今日会社行きたくない。— ゆん👩🏻🦰意識高過ぎる!某化粧品会社OLの暮らし (@Yu_lo23) October 21, 2025
踊る大捜査線の名言、「偉くなれ!」を深掘り:和久平八郎という「重み」
このセリフの重要性は、まず「誰が」言ったかにあります。
和久平八郎は、キャリア組でもエリートでもなく、定年間近の「ヒラ刑事」です。
彼は、青島が直面するよりもずっと長く、組織の理不尽さや「上」の都合で正義がねじ曲げられる現場を経験してきました。
彼自身は「偉く」ありません。
むしろ、「偉くなる」ことを選ばず(あるいは選べず)、現場にあり続けた人物です。
その彼が、自らの刑事人生の集大成として、理想に燃える青島にこの言葉を託すのです。
ここには、「俺のようにはなるな」という諦念と、「お前ならできるかもしれない」という希望が同居しています。
彼自身が「偉くなかった」からこそ貫けなかった正義があった。
その無念と現実を知る者だからこそ、この言葉は圧倒的な重みを持つのです。
青島、室井さん、すみれさん、和久さん、真下、雪乃さん、、🚔️
懐かしいなあ
『踊る大捜査線!』🤩
好きだったなぁ
『湾岸署のゆかいなメンツたち』🤭『正しいことをしたけりゃ 偉くなれ』
『あんたは上へ行け!俺は現場で頑張る』『な~んてな』『捜査を立て直す』🤭#踊る大捜査線#むろいしんじ pic.twitter.com/egkbBxNIO8— 円見 和 official (@kasyagatya) October 5, 2024
踊る大捜査線の名言、「偉くなれ!」を深掘り:「正義のための権力」という現実
和久の言葉を分解してみましょう。
「正しいこと」:
青島が信じる「市民を守る」「筋を通す」という現場の正義。
「したかったら」:
それを「実行」に移したければ。
「偉くなれ」:
組織内で影響力を持てる地位(権力)を持て。
青島は当初、「偉くなくても正しいことはできる」と信じています。
しかし、シリーズを通して彼は何度も壁にぶつかります。
犯人を追いたくても「上」がストップをかける。
真実を公表したくても「組織のメンツ」がそれを許さない。
和久のセリフは、「情熱や理想だけでは、組織のルールや政治力には勝てない」という冷徹な現実を突きつけています。
そして、「本当に正しいことを貫き通すためには、その正義を守るための『力(=地位)』が必要なんだ」という、極めて現実的な戦略を若き青島に示唆しているのです。
踊る大捜査線の名言、「偉くなれ!」を深掘り:二人の後継者
和久のこの言葉は、奇しくも「踊る大捜査線」のもう一人の主人公、室井慎次(演:柳葉敏郎)の生き方そのものを指しています。
室井は、警察組織を変革するという「正しいこと」のために、あえて現場を離れ、キャリアとして「偉くなる」道を選んだ人物です。
彼は、組織の論理の中で汚れ仕事も引き受けながら、頂点を目指します。
和久のセリフは、この二人の主人公の道を照らし出します。
室井慎次:
和久の言葉を「組織改革」として体現する道。
青島俊作:
和久の言葉を「現場の正義を守る」ために、室井という「偉い」存在と連携する道。
青島は、自分が「偉くなる」のではなく、室井に「偉くなって」もらうことで、自らの正義を貫く道を選びます。
「俺は現場で、あんたは上で」という二人の約束は、まさに和久が示した「正義と権力」のジレンマに対する、彼らなりの答えなのです。
踊る大捜査線の名言、「偉くなれ!」を深掘り:まとめ
和久平八郎の「正しいことをしたかったら、偉くなれ」は、単なる出世のススメではありません。
それは、私たちが会社や社会という「組織」の中で生きる上で、誰もが直面する問いかけです。
「理想を貫きたいなら、それを可能にする力を手に入れろ。ただし、力を手に入れる過程で、その理想を見失うな」——。
和久の言葉は、理想と現実の狭間でどう戦うべきかを指し示す、厳しいながらも愛情に満ちた道しるべです。
だからこそ、放送から何十年経っても、このセリフは私たちの胸に深く突き刺さるのです。


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