『黒執事』の物語において、マダムレッドは最も印象的なキャラクターの一人です。
彼女はシエルの叔母でありながら、悲しい過去と深い葛藤を抱え、やがて「切り裂きジャック事件」の犯人として運命を辿ります。
本記事では、彼女の過去、犯行の動機、そして最後の瞬間までを徹底解説します。
この記事を読むとわかること
- マダムレッドの過去とファントムハイヴ家との関係
- 切り裂きジャック事件の真相と犯行の動機
- 彼女の最期とシエルに与えた影響
マダムレッドの正体とは?彼女の本名と背景
『黒執事』に登場するマダムレッドは、シエル・ファントムハイヴの母方の叔母であり、本名をアンジェリーナ・ダレスといいます。
彼女は燃えるような赤髪と、常に身にまとう赤いドレスが特徴的であり、その姿から「マダムレッド」と呼ばれるようになりました。
華やかな社交界の中で活躍しながらも、その内面には深い悲しみと嫉妬を秘めていたのです。
アンジェリーナ・ダレスという本名とファントムハイヴ家との関係
マダムレッドは、シエルの母であるレイチェル・ファントムハイヴの妹にあたります。
幼い頃から姉を深く愛しており、喘息気味だったレイチェルのために医師を志しました。
また、シエルの父であるヴィンセント・ファントムハイヴに密かに想いを寄せていましたが、彼が姉と結婚したことで叶わぬ恋となりました。
それでも姉の幸せを願い、甥であるシエルを我が子のように愛し続けます。
医師としての顔と、社交界での「マダムレッド」の姿
マダムレッドは、医師として王立ロンドン病院に勤め、多くの患者を診ていました。
当時のイギリスでは、女性が医師として働くことは珍しく、彼女の知識と技術は周囲から高く評価されていました。
しかし、一方で彼女は社交界でも活躍し、派手な装いと大胆な振る舞いで人々の注目を集めます。
その二面性が、彼女の魅力をより際立たせていました。
マダムレッドが抱えた悲劇と心の闇
表向きは華やかな社交界の貴婦人として振る舞っていたマダムレッドですが、彼女の人生は決して順風満帆なものではありませんでした。
最愛の人を奪われた失恋、結婚後のわずかな幸せ、そして突然の事故によって母になる夢を打ち砕かれた彼女は、心に深い傷を抱えることになります。
この抑えきれない悲しみと嫉妬が、やがて彼女を狂気へと導くのでした。
最愛の人を奪われた過去と消えない嫉妬
マダムレッドは若い頃、シエルの父であるヴィンセント・ファントムハイヴに恋をしていました。
しかし、彼が姉のレイチェルと結婚したことで、その恋は叶わぬものとなります。
それでも彼女は、姉を憎むことはできず、むしろ嫉妬と愛の狭間で揺れ続けることになりました。
姉のことを心から愛していたからこそ、その幸福を祝福したい気持ちと、どうしようもない嫉妬心が同時に存在していたのです。
事故で夫と子供を失い、母になれなかった悲しみ
マダムレッドはやがてバーネット男爵と結婚します。
彼は、ヴィンセントとは違うものの、彼女のすべてを受け入れてくれる優しい男性でした。
そしてついに妊娠し、彼女は母親になる日を心待ちにしていました。
しかし、その幸せは長くは続きませんでした。
馬車の事故に巻き込まれ、夫は死亡。彼女自身も重傷を負い、子宮を失うことになったのです。
この出来事は、彼女の人生において決定的な悲劇となりました。
それまで大切にしてきた姉と甥の存在は、彼女にとって手に入れられなかった幸せの象徴になり、心の闇を深めていくことになります。
切り裂きジャック事件の真相!彼女の犯行の理由
マダムレッドは、ロンドンを震撼させた切り裂きジャック事件の真犯人でした。
彼女が標的にしたのは、望まぬ妊娠を理由に堕胎を選ぶ娼婦たち。
それは、母になりたくてもなれなかった彼女の強い憎しみと絶望の表れでした。
娼婦への憎しみと復讐の狂気
子宮を失ったことで、マダムレッドは母になる夢を永遠に奪われました。
そんな彼女の前に、妊娠しても簡単に命を手放す娼婦たちの姿がありました。
「私がどんなに欲しくても手に入らないものを、簡単に捨ててしまうなんて……!」
嫉妬と憎悪に駆られた彼女は、医師としての知識を使い、娼婦たちを惨殺し、その子宮を奪うという凶行に走ります。
そうして「切り裂きジャック」としての連続殺人が始まったのです。
死神グレルとの出会いと共犯関係
彼女の犯行に目をつけたのが、死神であるグレル・サトクリフでした。
グレルは彼女の狂気に魅了され、パートナーとして協力を申し出ます。
こうして二人は共犯関係となり、次々と娼婦たちを手にかけるようになったのです。
しかし、事件を捜査していたシエルとセバスチャンにより、ついに彼女の犯行は暴かれることになります。
衝撃の最期…シエルへの愛と決断
切り裂きジャックとしての正体を暴かれたマダムレッドは、ついにシエルと対峙することになります。
しかし、彼女はここで重大な選択を迫られることになりました。
甥であるシエルを手にかけるのか、それとも……。
シエルを殺せなかった理由とは?
シエルは彼女を追い詰め、女王の番犬として裁きを下そうとしました。
その瞬間、マダムレッドの心にこみ上げたのは、愛と後悔でした。
「あんたなんか、生まれてこなければよかったのよ!」
そう叫びながらも、彼女はシエルを殺すことができませんでした。
なぜなら、シエルの瞳の奥に、かつて愛した姉・レイチェルの面影を見たからです。
彼女の心にあったのは、嫉妬と憎しみだけではなく、確かに存在した家族への愛だったのです。
グレルの裏切りと悲劇的な死
マダムレッドの躊躇を見たグレルは、失望と共に呟きました。
「ただの女になったアンタには、もう興味ないわ。」
そして、彼女は死神の鎌で胸を貫かれ、命を落とすことになります。
それは、甥を守るために下した最後の決断でした。
シエルの目の前で倒れた彼女の最期の姿は、激情と哀しみに満ちた「マダムレッド」そのものでした。
マダムレッドが残したものとは?彼女の影響とその後
マダムレッドは命を落としましたが、その存在はシエルに大きな影響を与えました。
彼女の死は、シエルの心に深い傷を残し、彼の復讐の決意をさらに固めるものとなりました。
また、彼女が最後に見せた愛と葛藤は、シエルにとって忘れられないものとなります。
シエルが見せた弔いの言葉と赤いドレス
マダムレッドの葬儀の際、シエルは彼女のために真紅のドレスを用意しました。
「貴方には、白い花も地味な服も似合わない。貴方に似合うのは、情熱の赤、地に燃えるリコリスの色だ。」
これはかつてヴィンセントが彼女に贈った言葉であり、シエルは彼女の死を悼みながらも、マダムレッドとしての誇りを最後まで尊重したのです。
さらに彼は、彼女を「マダム・レッド」ではなく、“アン叔母さん”と呼びました。
それは、彼が彼女を甥として愛し、そして本当の家族として見送ったことを意味していました。
黒執事の物語における彼女の役割と意味
マダムレッドは、シエルにとって家族でありながらも、敵にもなり得た存在でした。
彼女の死は、シエルにとって「復讐の道を進むことがどれほどの犠牲を伴うか」を突きつけるものとなります。
また、彼女の人生は、愛と嫉妬、夢と絶望といった人間の感情の複雑さを象徴するものでした。
そのため、彼女の存在は物語の中で単なる事件の犯人ではなく、シエルにとって忘れられない教訓となったのです。
【まとめ】マダムレッドの運命とその悲しき魅力
『黒執事』の物語の中で、マダムレッドはわずか数話の登場ながら、強烈な印象を残しました。
彼女はシエルの家族として愛を注ぎながらも、深い悲しみと嫉妬に苛まれ、やがて切り裂きジャックとして凶行に走ります。
しかし、最期の瞬間に甥を守る決断をし、家族としての愛を貫いたのです。
- 彼女はシエルの母・レイチェルを愛し、嫉妬し続けた。
- 事故で夫と子供を失い、母になる夢を絶たれた。
- その憎しみが切り裂きジャック事件を引き起こした。
- 最期の瞬間、シエルを殺せず家族としての愛を示した。
- シエルは彼女の死を悼み、「アン叔母さん」として見送った。
彼女の人生は、愛と悲劇が交錯する壮絶なものでした。
そして彼女の死は、シエルにとって「復讐の道に進むことの代償」を改めて痛感させる出来事となったのです。
マダムレッドは、その生き様と最期によって、『黒執事』の物語に深みと哀しみを与えた特別なキャラクターであったと言えるでしょう。
この記事のまとめ
- マダムレッドはシエルの叔母であり、かつてシエルの父に想いを寄せていた
- 事故で夫と子供を失い、母になれなかった悲しみから切り裂きジャック事件を引き起こした
- 死神グレルと共犯関係を結ぶが、最期はシエルを殺せずに裏切られ命を落とした
- シエルは彼女を「アン叔母さん」として弔い、彼女の死を胸に刻んだ
- マダムレッドの人生は、愛と嫉妬、悲劇と家族愛が交錯する壮絶なものだった
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