大晦日のごちそうといえば何?地域によって異なる食の風習

年の終わりである大晦日。

大晦日では家族や親戚が集まって、みんなで食事を取るというご家庭も多いのではないでしょうか。

1年の締めくくりの日となるので美味しいものを食べて、新たな年を迎えたいですよね。

今回は、そんな大晦日のごちそうに焦点を合わせて深堀りしていきたいと思います。

大晦日に人気のごちそう

まずは大晦日には、どのようなごちそうが食べられているかについて見ていきましょう。

お寿司

大晦日のごちそうとしてお寿司は非常に人気の食べ物となっています。

見た目も色とりどりで華やかなお寿司は、縁起物や祝いものとしても喜ばれることから、大晦日のおめでたい雰囲気にとても合っています。

またお寿司は、大人数で食べる際も食事量の調節がしやすかったり、魚だけでなく卵焼きや納豆など種類が豊富なのでアレルギーを気にせずに頼みやすいのもポイントなります。

お寿司屋さんにとっては1年で1番忙しい日という声もあり、人気の高さがうかがえます。

天ぷら

天ぷらも人気のあるごちそうになります。

年越しそばの具材にもなることから、年末年始にピッタリの食べ物です。

天ぷらは昔から運気を「あげる」として縁起が良いとされている料理になります。

例えば定番のメニューであるエビの天ぷらには、エビは「腰が曲がるまで」という長寿の象徴という意味や七福神の恵比寿様になぞらえた意味があります。

外食チェーン店などでは、年の瀬に大晦日専用の天ぷらセットを販売している所もあるので、家で揚げるのはハードルが高いという方はそういった店で購入するのがオススメです。

オードブル

オードブルは、パーティーや人が集まるイベントの際に活躍してくれる盛り合わせ料理になります。

大晦日には親戚や家族など多数の人が集まるご家庭も多く、料理を作るとなると、とても負担が大きくなってしまいますよね。

オードブルはレストランやデリバリーサービスでも注文することができますし、大手スーパーなどでも直接購入することができリーズナブルな価格で豊富な種類の味を楽しむことができます。

料理の種類はお店にもよりますが、和洋中の幅広いジャンルの料理が楽しめる物も多く、大晦日のおめでたい雰囲気を盛り上げてくれること間違いなしです。

大晦日におせちを食べる地域は?

おせちと言えば新年の始まりである元旦に食べるというイメージが強いかもしれませんが、実は地域によっては大晦日におせちを食べる文化があることをご存知でしょうか。

大晦日におせちを食べる地域は以下の通りです。

北海道、東北の一部、甲信越地方、四国地方、九州の一部

これらの地域のご家庭では大晦日におせちを食べるご家庭が多いとされています。

一方で元旦におせちを食べる地域は以下の通りです。

関東、関西、東海地方、山陰地方

こうして見るとかなり多くの地域で大晦日におせちが食べられていることが分かります。

大晦日におせちを食べる理由には地域の風習や歴史が関係していると言われています。

北海道の年取り膳

例えば北海道では「年取り膳」という風習があります。

「年取り膳」とは、大晦日に豪華な料理を食べて、年神様に今年一年の感謝を伝えて新たな年神様をお迎えするという風習です。

年神様というのは特定の宗教の神様ではなく、その年の徳や福を司る歳徳神や穀物の神、先祖の霊などの複数の神様が1つにまとめられた民間信仰として伝わっていったものとされています。

北海道ではこの風習が現代にも受け継がれており、大晦日におせちを食べるようになりました。

なお使用する食材は鯛や塩イワシ、昆布など一般的なおせち料理と同じになります。

おせちは元々大晦日に食べていた?

おせちは元々は全国的に大晦日に食べていたことをご存知でしょうか?

昔は関東や関西、東海地方、山陰地方でも大晦日におせちを食べることが一般的だったのです。

それには当時使われていた暦が関係しています。

明治5年まで使われていた太陰太陽暦では日没から1日が始まるとされていたので、12月31日の夜からが新年とされていました。

つまり現代とは元旦と見なす時間が異なっていたのです。

それが明治6年より現代の太陽暦に変わり、江戸時代後期以降は新年の来客のおもてなしとして、元旦におせちを食べるようになったと言われています。

また、現代において地域によっておせちを食べる日が元旦と大晦日で分かれているのは、当時の情報伝達速度が関係していると言われています。

情報の伝達速度が遅かった時代において、江戸や京都で生まれる新しい文化が北海道や東北、九州といった地理的に離れた地域に浸透するには時間がかかりました。

そのためどの時代の風習が現代の風習として受け継がれているかは、地域によって差が出てくるのです。

大晦日にすき焼きを食べる?

大晦日にすき焼きを食べるというイメージはお持ちでしょうか?

以下の地域では大晦日にすき焼きを食べるご家庭が多いようです。

愛知県、岐阜県、三重県

これらの県では大晦日の食べ物として定番な年越しそばよりもすき焼きが好んで食べられているようです。

そのことから大晦日にお肉屋さんではすき焼き用の牛肉が多く並ぶそうです。

東海地方特有の文化として知られるこの食風習には古くから存在する、とある郷土料理が関係しています。

それは「ひきずり鍋」という郷土料理で、ひきずりとは鶏肉を使ったすき焼きのことであり、鶏肉を鍋の中をひきずるようにして食べていたことから「ひきずり鍋」という名前がつきました。

東海地方では昔から、料理の名前にあやかって、過去をひきずらずに良い新年を迎えられるようにという縁起かつぎで、この「ひきずり鍋」が大晦日に食べられていたのです。

その後は時代の流れとともに、牛肉を食べる文化が大衆化していったことからすき焼きが生活に定着し、現在では大晦日にすき焼きが食べられるようになったと言われています。

ちなみに東海地方ではすき焼きの中に「角麩」という食材を入れるご家庭が多いです。

「角麩」はグルテン+小麦粉+もち米粉によって作られたちくわぶに似た固めでもっちりとした食感のある食材になります。

すき焼きに入れると味がよく染み込み色が白色から薄い茶色に色が変わっていくのも特徴的です。

なぜ東海地方でこの「角麩」がすき焼きの具として食べられているかというと、愛知の尾張地方や岐阜の西濃地方の木曾三川周辺では水に恵まれた地形であることから、古くより麩を扱うお店が多く周辺の出身者にとって身近な食べ物であったため、すき焼きにも「角麩」を入れるようになったとされています。

こういった風習やその地域の地形などから住民へと根付いていき、現代にも引き継がれているというのはとても興味深いですね。

まとめ

まとめになります。

今回は【大晦日のごちそうといえば何?地域によって異なる食の風習】ということで、大晦日に食べる定番のごちそうや地域による風習の差についてご紹介いたしました。

大晦日に人気のごちそうでは、お寿司や天ぷら、オードブルが挙げられました。

またおせちを食べる日については、北海道や東北の一部、甲信越地方、四国地方、九州の一部の地域では、大晦日に食べる傾向にあるようです。

すき焼きを大晦日のごちそうとして食べる地域もあり、愛知県、岐阜県、三重県では地元に根付いた郷土料理が始まりとなり、現在では大晦日にはすき焼きを食べることが通例になっていました。

今回の記事は以上となります。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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