年賀状とは、新年に友人や親戚などに送る挨拶状のことです。
日本では、毎年1月1日に届くように郵便局が特別な取り扱いをしてくれます。
年賀状には、お年玉付きのくじがついていたり、干支や絵柄が入っていたりするものもあります。
年賀状は日本の伝統的な文化として親しまれていますが、その起源や変遷はあまり知られていません。
この記事では、年賀状の歴史と文化について紹介します。
年賀状の風習はいつから?
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年賀状を送る習慣は非常に古く、平安時代にさかのぼります。
平安時代の学者である藤原明衡が作った文例集『庭訓往来』には正月の挨拶の文があり、これが現存する最古の年賀状といわれています。
この文例には、「春の始めの御悦び、貴方に向かってまず祝い申し候」という言葉が書かれています。
この頃から年の初めにお世話になった人や親族の家をまわって挨拶をする「年始回り」という習慣が広まりました。
江戸時代の年賀状
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江戸時代には、年始の挨拶を書状で伝えることが一般的でした。
書状には、「年賀」や「始」などという文字が書かれていました。
送る相手は、親族や主君、上司などの身近な人や目上の人が多かったです。
書状の内容は、自分や家族の近況や健康状態を報告したり、相手の健康や幸運を祈ったりするものでした。
また、書状には餅や酒、果物などの贈り物を添えることもありました。
書状を送る時期は、旧暦12月15日から1月15日までの間と決まっていました。
明治時代の年賀状
明治時代は、西洋の文化や制度が導入された時代でした。
その中で、年賀状も大きく変化しました。
まず、1月1日が正月と定められ、旧暦から新暦に移行しました。
次に、近代郵便制度が創設され、東京と大阪の間で郵便が運ばれるようになりました。
そして、世界で初めて郵便はがきが発行されました。
最初は二つ折りで半銭切手を貼って使っていましたが、後に一枚物で一銭切手を貼って使うようになりました。
この郵便はがきを使って年賀状を出すことが流行しました。
年賀状には、干支や花鳥風月などの絵柄や詩句が入っていたり、手書きで絵や文字を飾ったりするものもありました。
年末になると、郵便局は年賀状で混雑しました。
昭和時代の年賀状
昭和時代は、年賀状の発行枚数や種類が増えた時代でした。
昭和24年(1949年)には、社会福祉の精神から生まれた「お年玉付き年賀はがき」が発行されました。
これは、お年玉付きのくじがついていて、当選者には現金や商品券などが贈られるというものでした。
昭和57年(1982年)からは、「絵入り年賀はがき」が発行されました。
これは、絵柄や言葉入りの年賀状で、全国版と地方版がありました。
利用者のニーズに応えるために作られたものでした。
年賀状のピークは平成16年(2004年)で、約44億5000万枚もの年賀状が発行されました。
平成時代の年賀状
平成時代はインターネットや携帯電話の普及に伴って、年賀状の発行枚数や利用者数が減っていきました。
それでも、年賀状を出すことに意義や価値を感じる人は多く、郵便局や印刷会社などは年賀状の需要に応えるために、さまざまなサービスを提供しました。
パソコンやスマートフォンでデザインや注文ができるサービスや、写真入りやオリジナルデザインの年賀状が作れるサービスなどがありました。
また、郵便局では、「ふるさと納税」を利用した「ふるさと小包」や「ふるさと宛名印刷」などのサービスもありました。
平成31年(2019年)は令和元年という新元号の年でしたが、その年には約19億4000万枚もの年賀状が発行されました。
令和時代の年賀状
令和時代に入ってからは、新型コロナウイルス感染症の影響で、対面での挨拶や集まりが控えられるようになりました。
そのため、遠く離れた人とのコミュニケーション手段として、年賀状を出すことに再び注目が集まりました。
郵便局では、「新型コロナウイルス感染症対策支援金付きお年玉付き年賀はがき」を発行しました。
これは、当選者に現金以外にも医療機関や自治体などに寄付することができるものでした。
また、「オンライン宛名印刷」や「オンライン投函」などのサービスも提供しました。
令和時代の年賀状は、コロナ禍の中で人と人とのつながりを大切にするというメッセージが込められたものが多く見られました。
例えば、マスクをした龍や家族やペットと一緒に写真を撮ったもの、感染予防やワクチン接種を促す言葉や絵柄などです。
また、オリジナルデザインや写真入りの年賀状を作るサービスも人気がありました。
令和3年(2021年)の年賀状は約17億枚が発行されました。
年賀状の意味と役割
年賀状は、新年を祝う挨拶状のことで、郵便はがきやカードなどを用いて送る習慣です。
では、年賀状を出すことにはどのような意味や役割があるのでしょうか。
ここでは、年賀状を出すことで伝えられる3つのメッセージについて解説します。
新年の挨拶
年賀状には、新年を祝う言葉(賀詞)と、旧年中の感謝と新しい年も変わらぬ厚情をお願いする気持ちを伝えます。
これは、お正月には各家を訪れる年神様への敬意や祈願の表現でもあります。
また、新しい年に向けて相手の健康や幸運を祈ることで、ポジティブな気持ちを共有することができます。
感謝の気持ちを伝える
お世話になった方に、1年の感謝の気持ちを伝えるのに年賀状を出す人は多いはずです。
受け取る側も、自分への感謝の言葉が添えられていたら嬉しいですよね。
口には出しにくい言葉も、手紙なら抵抗なく伝えることができます。
感謝の気持ちは相手に伝わりやすく、信頼関係を高める効果があります。
交流を深める
普段会わない人や仕事関係の人に出すことで、お互いの近況や連絡先を知ることができます。
また、写真や絵柄などで自分や家族の様子を見せることで、親しみや興味を持ってもらうことができます。
年賀状はコミュニケーションツールとしても有効であり、交流を深めるきっかけになります。
年賀状の書き方
年賀状は、新年の挨拶や感謝の気持ち、近況報告などを伝える手紙です。
では、年賀状を書くときにはどのような点に注意すべきでしょうか。
ここでは、年賀状の表面(宛名面)と裏面(通信面)に記入する内容やマナーについて解説します。
宛名
年賀状の表面には、郵便番号、宛先の住所と氏名、差出人の住所と氏名を記入します。
宛先の住所は、都道府県から番地まで省略せずに書きます。
建物名や部屋番号は省略しても構いませんが、相手が住んでいる場所が明確にわかるようにしましょう。
宛先の氏名は、世帯主を一番右にして、配偶者や子どもの順に書きます。
敬称は個人宛なら「様」、法人宛なら「御中」を付けます。
差出人の住所と氏名は、料額印面下にあるスペースに収まるように小さく書きます。
差出人の情報は裏面にも記入することができますが、表面と裏面で重複しないようにしましょう。
本文
年賀状の裏面には、賀詞、本文、日付を記入します。
賀詞は新年を祝う言葉で、「謹賀新年」や「あけましておめでとうございます」などがあります。
相手や場合によって使い分けることが大切です。
本文は旧年中の感謝や新年の祈り・願いを伝える文章で、「旧年中は大変お世話になりました」「本年も変わらぬご愛顧をお願い申し上げます」などがあります。
相手との関係性や近況報告などを考慮して適切な言葉を選びましょう。
日付は西暦か和暦かどちらでも構いませんが、「元旦」という言葉は「1月1日」という意味が含まれているため、日付と一緒に使わないようにしましょう。
結び
年賀状の最後には結びの言葉を添えます。
結びは相手の健康や幸運を祈る思いやりの言葉で、「皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます」「貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます」などがあります。
相手や場合に応じて丁寧さや敬意を表す言葉を選びましょう。
年賀状の風習はいつから?のまとめ
年賀状を送る習慣は、平安時代にさかのぼります。
当時は、貴族たちが年始の挨拶を手紙で伝えることがありました。
江戸時代には、飛脚制度などの発達によって、庶民も年賀の意を交わすようになりました。
明治時代には、近代郵便制度が創設され、郵便はがきが発行されました。
これを使って年賀状を出すことが流行しました。
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