熱中症リスクを高める危険な「NG行動」とは?

2024年6月の熱中症による救急搬送者数は、全国で約1万3000人。前年6月と比べて約1.5倍に増えました。猛暑が続く夏、熱中症になるリスクを高める危険な「NG行動」を避けることで元気に過ごしたいですね。

熱中症リスクを高める「水分補給」

大量の汗をかいても水分・塩分を補給しない                           

温度や湿度の高い環境では、たくさん汗をかきます。水分や塩分を補給しないと、体内の水分や塩分が不足して体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもって熱中症になります。のどの乾きを感じる前に、こまめに水分補給しましょう。

運動や屋外作業などで大量に汗をかくときは、経口補水液やスポーツドリンク、冷たい味噌汁などがおすすめ。発汗で失われた水分や塩分をスムーズに補給できます。

一度に大量の水分を摂取すると、胃腸に負担がかかるだけでなく、体内のナトリウム濃度が低下して「水中毒」になるおそれがあります。コップ1杯(約150~250mℓ)の水をこまめに飲むのがおすすめです。

一日中エアコンの効いた屋内で過ごす場合や、少し汗ばむ程度の運動であれば、必要な塩分量は日々の食事で補給できているので、必要以上に塩分補給を意識する必要はありません。

また、スポーツドリンクを含むペットボトル飲料は糖質を多く含んでいるので、飲みすぎると高血糖になる恐れがあります。

ビールやコーヒーで水分補給

暑い日、仕事の後で飲むビールは何より美味しいですね。お酒をたくさん飲むと、しっかり水分補給できたように思えます。

しかし、アルコールは利尿作用があり、「1リットルのビールを飲むと1.1リットルの水分が失われる」といわれています。飲めば飲むほど体から水分を排出して脱水状態を招き、熱中症になるリスクが高まるのです。お酒を飲むときは、お水も一緒に飲みましょう。

お酒だけでなく、コーヒーやお茶に含まれるカフェインにも利尿作用があります。コーヒーやお茶は嗜好品として楽しみ、熱中症予防のための水分補給には、お水や麦茶などノンカフェインの飲み物を選びましょう。

寝る前は水を飲まない

「夜中トイレに起きたくないから寝る前は水を飲まない」という行動も、熱中症になるリスクを高めます。

人は、寝ている間も呼吸や汗などで約500㎖の水分を失うので、起床時の体は脱水気味です。寝る前にコップ1杯、夜中トイレに起きたらコップ1杯、朝起きた時も1杯の水分補給を心がけましょう。

熱中症リスクを高める「食習慣」

朝食を食べない

体重60キロの成人男性の場合、一日に必要な水分は約2500㎖、そのうち約1000㎖は食事から摂取しています。

1食あたりの水分量は約350㎖朝食をなので、朝食を抜くことは「350㎖の水分をとらなかった」ことと同じになってしまいます。

朝食に欠かせないのが、焼き魚・卵かけごはん・目玉焼き・ゆで卵・納豆などタンパク質を含んだおかずです。

熱中症になりやすい人は、タンパク質が不足していることが多いといわれています。血液に含まれるアミノ酸の一種アルブミンは、栄養や水分を全身に運び、水分を保持して血液を正常に循環させる働きがあります。

トマトやキュウリなどの夏野菜、梅干し、味噌汁などを加えると、さらに栄養バランスがよくなります。梅干しには汗で失われる塩分と、疲労回復が期待できるクエン酸が含まれています。

味噌汁は水分と塩分の両方を補うことができます。「朝に味噌汁を作るなんて無理!」という方は、前日に具だくさんの味噌汁を作って残りを冷蔵し、翌朝冷たいまま飲むのはいかがでしょうか。体にこもった熱を冷ます効果もあります。

無理なダイエットや麺類・菓子パンだけの食事

ダイエットのため食事量を極端に減らしたり、食欲低下で麺類や菓子パンだけの食事が続いたりしていませんか。栄養バランスが低下すると、体力も低下して熱中症を発症しやすくなります。

うどんや素麺などの麺類を食べるときは、ネギや大葉といった薬味と、ゆで卵やサラダチキンなどのタンパク質を添えると、栄養バランスが良くなります。

日本人の食事は塩分が多いので、バランスの良い食事をとっていれば日常生活に必要な水分や塩分は十分に取れているといわれています。

熱中症リスクを高める「エアコンの使い方」

エアコンの使用を控える

電気代が心配でエアコンの使用を控えていませんか。大手メーカーによると、エアコンの省エネ性能は年々改良が進み、最新機種の消費電力は11年前と比べて2割ほど削減できているそうです。

猛暑日は、午前中からエアコンを使って「室温28℃、湿度70%」以下を目安に部屋の環境を整えましょう。

ちなみに、エアコンのオンオフを繰り返すより、風力「自動」で設定温度を高めにして連続運転するほうが節電になります。

熱帯夜に冷房を切る・切タイマーにする

熱帯夜に「寝るときは冷房を切る」「切タイマーにする」ことも、熱中症につながる危険な行動です。

熱中症の4割は夜間や睡眠中に起きている、といわれています。就寝時も、設定温度28℃を目安に連続運転にしましょう。

熱中症リスクを高める「ファッション」

熱がこもりやすい服

首まわりや袖、着丈が絞られたデザインは、服と体の間を風が通らないので熱がこもりやすく、熱中症のリスクが高くなります。体にぴったりフィットした服も同様。

暑い日は、麻や綿など通気性がよい素材で、ゆったりとしたデザインの服がおすすめです。

太陽の下で濃い色の服

黒や紺、濃緑などのダークカラーは熱を吸収しやすい色なので、日中太陽の下で過ごす時は避けたほうがよいでしょう。

熱を吸収しにくい白や黄色など淡色の服がおすすめです。

キャップをかぶる

メジャーリーグのユニフォームを模したTシャツやキャップを日々のファッションに取り入れて楽しむ人が増えています。とてもかわいいのですが、熱中症予防という意味では、キャップはおすすめできません。

キャップをかぶっても、うなじは直射日光にさらされています。うなじから首の後ろにかけては太い血管が通っていて、日があたると体温が上がりやすくなります。

日差しの強い日には、うなじを直射日光から守れるデザインの帽子がおすすめです。

まとめ

熱中症を予防するためには、「ビールやコーヒーで水分補給」「寝る前には水を飲まない」「朝食を食べ何」「無理なダイエットや麺類・菓子パンだけの食事」といったNG行動を避けることが大切です。

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