七夕に笹飾りをする意味や由来は?笹飾りは捨ててもいいの?

夏の風物詩として有名な七夕。

笹竹に結いつけられた色とりどりの笹飾りが、笹の葉と一緒にサラサラと涼しげな音を立てて風になびく様子は風情があっていいですよね。

日本の七夕でよく見る、笹飾りを使ったお祝いのスタイルはいかにしてできたのでしょうか。

また、飾り付けた後の笹飾りの扱い方や適切な処分方法が気になる方もおられるかと思います。

今回の記事では、七夕に使われる笹飾りの意味や由来、また処分の方法などについてご紹介いたします。

笹飾りの意味や扱い方:笹飾りの意味や由来は?

七夕の代名詞とも呼べるのが、色とりどりの笹飾りですね。

子どもの時に折り紙で笹飾りを作った記憶がある方も多いと思います。

当時はそれほど深く考えずに作っていた笹飾りには、どんな意味や背景があったのでしょうか。

ここでは、笹飾りの意味や由来について解説していきますね。

笹飾りには一つ一つに意味がある

七夕の笹飾りはどんな物を飾ってもいいわけではなく、ある程度決まった形や色の特徴がありますよね。

実はそれら一つ一つに名前や意味があることはご存知でしょうか。

・短冊:学問や字が上達しますように
・吹流し:機織りが上達しますように(織姫の織り糸を表している)
・四角・三角つなぎ:裁縫が上達しますように(四角・三角の布は飾りに使われていた)
・紙衣(かみこ):裁縫が上達しますように、病や災難の厄除け
・千羽鶴:家族が健康で長生きしますように、家内安全
・巾着:お金がたまりますように、商売繁盛
・屑籠(くずかご):物を粗末にしませんように、清潔と倹約
・投網(とあみ):幸運を引き寄せられますように、豊漁と豊作
・野菜:神様やご先祖様へのお供え物
・輪飾り:みんなの夢がつながり、いつまでも続きますように

このように、天から見守っている織姫様・彦星様や神様に向け、技芸上達や幸福を願うメッセージが込められているのですね。

短冊に願い事を書くようになったのは江戸時代から

実は、日本の七夕は中国の『乞巧奠(きっこうでん)』と呼ばれる魔除けの風習が元になっています。

奈良時代に中国から乞巧奠が伝わると、日本の貴族たちは梶の葉に筆で文字を綴り、手芸や文字、詩歌や管弦楽が上達するように願ったそうです。

七夕の風習が民間にも広まりだしたのは平安時代以降ですが、その頃紙はまだ高級品で、庶民で文字を書くことができる人もほとんどいませんでした。

江戸時代になり寺子屋が増えると、七夕は習字や習い事の上達を願う行事として広く親しまれるようになり、その頃から短冊に願い事を書く風習ができたと言われています。

ちなみに、『たなばたさま』の歌にあるように、短冊などの笹飾りには緑(青)・赤・黄・白・黒(紫)の五色がよく使われますが、この色は中国の陰陽五行思想から来るもので、それぞれ

・緑(青):人間力や徳を積む(仁)
・赤:親や先祖に感謝する(礼)
・黄:人を信じ大切にする(信)
・白:義務や決まりを守る(義)
・黒(紫):学業の向上を願う(智)

という、人間が守るべき5つの徳を表しています。

古くから笹竹は神聖な植物だった

笹の葉が風になびく時には、サラサラと清々しい音がしますよね。

日本では古来からこの音を「神を招く音」と捉え、生命力の強い笹竹は神様や祖先の霊が宿る依り代(よりしろ)であると考えられてきました。

元々は、お供え物のそばに笹竹を飾り、神様の目印として使われていましたが、七夕においては時代とともにお供え物が簡略化されていき、現在のような形が定着したそうです。

また、笹竹は成長が早く、天に向かって真っ直ぐに伸びていくことから、神様やご先祖様に願いが届きやすいと考えられていたようですね。

笹竹は今でも地鎮祭などで使われたりしますし、神様と縁が深い植物であることが分かりますね。

笹飾りの意味や扱い方:最適な処分の方法は?

笹飾りを処分することを『七夕送り』と言います。

古くから日本では、川や海に笹飾りを流す七夕送りの風習がありました。

しかし、現代でもその方法で七夕送りしても良いものでしょうか?

また、笹飾りは7月7日を過ぎて飾っていても大丈夫なのでしょうか。

ここでは、笹飾りを片づけるタイミングや処分方法について解説していきますね。

笹飾りは一夜飾りが基本?

実は笹飾りは本来、7月6日の夕方から飾り始め、7日の夜には片づけてしまうものだそうです。

つまり、飾っている期間はたった1日だけということになります。

これは、七夕の由来とも言われる、日本古来の『棚機女(たなばたつめ)』の風習から来ています。

神様にお供えする着物を織るために選ばれた乙女(棚機女)は、6日に機を織り、7日の夕方に禊ぎを済ませることから『七夕』と呼ばれるようになり、そこから一夜飾りが基本になったと言われています。

ですが、せっかく気持ちを込めて作った笹飾りを1日だけで片づけてしまうのは、なんだか忍びないですよね。

なので、実際には1週間~1か月くらい前から飾ったり、8日の夜まで飾ることも増えてきているようです。

現代では笹飾りを川に流すのはNG

笹飾りを海や川に流す七夕送りの風習があることはよく知られています。

ですが、現代の日本では笹飾りを川や海に流すことは環境汚染につながり、地域によっては不法投棄になってしまうため、おすすめすることはできません。

川に笹飾りを流すことができる七夕祭りのイベントは今でも存在しますが、そうしたイベントでは環境保護のため、係員が流された笹飾りを回収しているそうです。

現代において笹飾りを川や海に流すことは、現実的ではないでしょう。

お清めしてから捨てる方法

笹飾りを可燃ごみとして捨てる方法ももちろんあります。

しかし、願い事を書いた短冊をそのまま捨てることに抵抗がある方もおられるかと思います。

そういう場合は、自分でお清めを行う方法もあります。

まず白い紙の上に笹飾りを置いて、左側・右側・中央の順番で軽く塩をまいてから包み、他の家庭ごみと分けて捨てます。

お清めをすることで、捨てることへの抵抗は少なくなりますよ。

お焚き上げをする方法

笹飾りをごみとして処分しにくい場合は、お焚き上げに持っていくのもおすすめです。

地域で笹飾りのお焚き上げ行事が行われている場合もありますし、神社で個別に行ってくれることもありますので、一度問い合わせてみてはいかがでしょうか。

神社のお焚き上げに笹飾りを持っていく場合は、笹を小さく束ねて、扱いやすい形にしてから持っていきましょう。

また、1月中旬に神社で行われる、お正月のお焚き上げに笹飾りを持って行くのも良いでしょう。

短冊の写真を残しておこう

七夕送りをする前に、笹飾り(短冊)の写真を残しておくと、とても良い思い出になりますよ。

子どもが大きくなった時に、自分がどんな願い事をしていたのか思い出せるように、アルバムに残しておきましょう。

笹飾りの意味や扱い方:まとめ

ここまで笹飾りの意味や扱い方についてご説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。

笹はこの世と天界を結ぶ媒体と考えられていたのですね。

ですが、燃やしたり処分することを必要以上に恐れる必要はありません。

可燃ごみに出す場合でも、自分でお清めを施すことで気持ちを和らげることができますよ。

ぜひ思い出に残る、楽しい七夕にして下さいね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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