実は絶滅危惧種だったイチョウと銀杏の起源と由来

街路樹や公園樹としてよく見かけるイチョウは、秋になると葉が鮮やかな黄金色に色づき、街路や公園が黄金色に染まり、私たちの目を楽しませてくれます。

特徴的な扇形の葉の奥に丸い実がなり、地面に落ちたその実がとても独特な匂いをしており嗅いだ人の顔をしかめさせることもしばしばあります。

そのイチョウの実である「銀杏」は茶碗蒸しや炊き込みご飯、おせちなど古くから日本料理の食材として広く親しまれてきました。

ここでは、イチョウや銀杏についての興味深い由来と歴史についてご紹介します。

 

イチョウってどんな木?

大きな扇型の葉を持つ落葉高木で、灰色の樹皮をしており樹高は20~30m、大きいもので40~45mにも成長します。

イチョウの木は苗を植えてから実がなるまで数十年と長い年月がかかり、孫の代にようやく実が食べられることから公孫樹とも呼ばれています。

病害虫に強く生命力が旺盛で火災にも強いため木造の神社や系内に好んで植えられています。

また、イチョウは雌雄異株でメスの木にのみ銀杏が実るので、近年は銀杏特有の匂いを出さないように、街路樹を植える時にはオスの木が使われるようになっています。

今では日本のあちこちで見かけることができるイチョウですが、意外にも野生のイチョウは絶滅危惧種として扱われており、中国の限られた地域のみ存在が確認されています。

イチョウの起源

約2億年前に起源をもつ古い植物で生きた化石とも呼ばれ、中生代のペルム紀に出現し、ジュラ紀にはには世界中に広がっていました。

しかし新生代に入り氷河期を迎えた際、厳しい気候の変化に耐えられなかったイチョウは徐々に数を減らし、他と比べ比較的温暖な地域だった中国にわずかに自生するのみとなりました。

 

イチョウの歴史

イチョウは中国原産の樹木で生命力が強く非常に長く生きることから長寿や繁栄の象徴とされ、古くから寺院や庭園に植えられてきました。

日本に伝わった正確な年代は不明ですが少なくとも室町時代までに仏教とともに伝わり寺院や神社の境内に多く植えられるようになりました。

また、中国ではイチョウは葉の形が鴨の足の水かきに似てる事から鴨脚「ヤーチャウ」と呼ばれており、日本に伝わる過程で徐々に訛り、「イーチャウ」から「イチョウ」へと変化したと言われています。

銀杏とは?

一般的に銀杏は丸い果肉部分を取り除いた固い殻とその内側の部分を指し、その形が杏(あんず)に似ており、銀白色であることから銀杏と呼ばれるようになりました。

銀杏の味は独特で少し苦味がありつつもほんのりと甘みがあり、食感はもちもちとしていて、炒ったり揚げたりすると香ばしさが増します。

茶碗蒸しやおせち料理によく使われており、おつまみにもぴったりです。

ビタミンCやβカロテン、ミネラルなどの栄養素が豊富に含まれており、健康食品や漢方薬としても使用されます。

ただし、食べ過ぎると嘔吐や下痢、呼吸困難などの中毒症状を引き起こすおそれがあるので1日に食べる量は30個程度に抑えておきましょう。

銀杏はなぜ匂う?

銀杏特有の独特で強烈な匂いは果肉部分が放っており食用には適しておらず、その主な原因は酪酸とエナント酸という成分です。

酪酸は汗臭い匂い、エナント酸は腐敗臭を発しており、その二つが混ざり合うことで銀杏特有の強烈な匂いが生まれるのです。

この匂いは、猿やネズミなど他の動物に食べられないようにするための自然の防御機能と考えられています。

 

まとめ

今回はイチョウや銀杏についての疑問や歴史について解説しましたがいかがでしたか?

銀杏拾いに行く場合は、果肉部分に触れるとかぶれるおそれがあるので、手袋などを使い直接触れないようにすることを覚えておきましょう。

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