新たな1年の始まりであるお正月。
ご家庭では門松やしめ飾りといった正月飾りを飾る方も多いのではないでしょうか。
門松やしめ飾りを飾ることで一気におめでたい雰囲気になりますよね。
そんなお正月飾りですが、毎年同じものを使用しているという方はいらっしゃいますでしょうか?
もしかしたらその使用は考え方によってはNGかもしれません。
今回は正月飾りの意味や使いまわしをしても良いのか、再利用するために必要なことについてご紹介させていただきます。
正月飾りにはどんな意味がある?
まずは代表的な正月飾りの意味について見ていきましょう。
門松
門松はお正月に家の門前などに立てられる竹や松を用いた正月飾りです。
他の正月飾りに比べてサイズも大きく存在感があるので、正月飾りといえば真っ先に門松が頭に思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。
そんな門松には大きく分けると3つの意味があるとされています。
①松や竹に由来した縁起的な意味
1つ目は門松に使われる松や竹に由来した意味です。
松には冬でも緑を失わない生命力があることから長寿の縁起物として、竹は成長が早くすくすくと伸びていくことから繁栄を表す意味があるとされています。
また門松には松や竹以外にも梅や葉牡丹、南天といった材料が用いられることもあり、それらにもそれぞれ意味が存在しています。
梅は最も早く花を咲かせる開花樹であることから出世や海運の象徴として、葉牡丹は幾重にも重なりあう葉が故事を重ねるという意味合い、南天は「難転」として難を転じる、厄災を除けてくれるといった縁起物であるとされています。
門松には色々な植物の素材が使われていますが、1つ1つに込められた意味を知ると、より一層ありがたみを感じますね。
②神様を迎える意味
2つ目の理由は神様を迎えるという意味です。
お正月には歳神様という神様が現世に降りくるとされています。
歳神様とは特定の宗教の神様ではなく、その年の徳や福を司る歳徳神や穀物の神、先祖の霊などの複数の神様が1つにまとめられた民間信仰として伝わっていったものであるとされています。
そんな歳神様が現世に降りてきた際に、門松を目印にして家を訪ねてきてくれるのです。門松を置くことで神様を迷わせることなく迎えることができるというわけです。
門松の意味は、秋が来て収穫が終わるといったん山へ帰る神様が、次の年の新年に"年神様"として再びやってきて、その一年を五穀豊穣の実り多い年にしてくれますが、その神様がやってくる時に来やすい様に目印として門松を飾ります。 pic.twitter.com/Lwnd4A5Rnb
— 水琴窟(”心の終活”ブッソロジー) (@genki2018) December 30, 2016
目印としての役割があることから、門松が玄関先に飾られる理由もよく分かりますね。
③魔よけの意味
3つ目は魔除けとしての意味です。
門松には家の中に邪気が入り込まないようにするための魔除けの意味もあります。
門松は玄関先にシンメトリーで立てられることが多いですが、それにはとある理由があります。
一見すると同じものを2つ並べているかの様に見えますが、実は2つの門松は異なる性質を持っています。
その性質は「陰」と「陽」に分かれており、門松を作る際に職人さんは必ず片方は「陰」、もう片方は「陽」のアイテムを入れて製作しています。
玄関先に置いた2つの門松を陰と陽で結ぶことによってバリアができ、邪気から家を守ってくれるとされているのです。
門松が2つセットでよく飾られる理由に、「陰」と「陽」という性質が関係していたのはとても興味深いですね。
しめ飾り
続いてはしめ飾りの意味について見ていきましょう。
しめ飾りはしめ縄を縁起物で飾り付けたもので、こちらも門松と同様に玄関先で目にしたことがある方が多いかと思います。
①家の中を清浄な場であると示す意味
しめ飾りには家の内側が清浄であると示してくれる意味合いがあります。
先ほど門松を飾る意味について歳神様の存在について触れましたが、しめ飾りを飾る理由にも歳神様が関係しています。
しめ飾りは現世と神様の領域を区分けする結界のような役割を果たすもので、玄関扉の上に飾ることで家の中が「清められた神聖な場所」であることを示す意味があります。
神様は清らかな場所を好み、家が不浄のままでは入ることができないので、歳神様を迎えるうえで重要な正月飾りなのです。
②素材に由来する縁起的な意味
しめ飾りに使われる素材にも多くの意味が込められています。
例えば、しめ飾りの装飾に柑橘類が使われていつのを見たことはありませんか?
しめ飾りに使われる柑橘類は「橙」と呼ばれ、実が熟しても枝から落ちづらいことから、代々繁栄しますようにといった意味が込められています。
しめ飾りに使われるシダ植物の一種であるウラジロには、裏表のない清らかな心で1年を過ごすことができますようにという願いが込められています。
ゆずり葉は、春の新芽が出るのを見届けてから古い葉が落ちていく様子から、子孫繁栄や円満な世代交代といった意味が込められています。
鏡餅
鏡餅も代表的な正月飾りとして有名ですよね。
毎年1月11日には、鏡開きとして鏡餅を割って食べる風習は室町時代から始まったとされています。
①依り代としての意味
鏡餅についても門松やしめ飾りと同様に歳神様に関連した意味が存在しています。
鏡餅は歳神様の依り代となる役割を果たすと言われており、新年の恵みや幸福をもたらすためにやってきた歳神様は鏡餅に依りつくとされています。
また、歳神様は家の中の各場所に分霊されると信じられていることもあり、家の中の1ヵ所だけでなくトイレも含む各部屋にお供えするご家庭もあります。
トイレと聞くと神様の依り代にそのような場所を選んで良いのか疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、トイレや家の下座といった不浄な場に歳神様が宿られることによって清められるという考えもあるので、基本的には飾ってはいけない場所というのはありません。
ただし、一部の地域や風習によっては家の下座に飾ることを避ける所もあるので、その場合は地域のルールに従って飾りましょう。
②2つの餅を重ねる意味
鏡餅といえば2つの餅が重なった姿が印象的ですが、この重なりにも意味があります。
大小重ねられた2つの餅は「陰(月)」と「陽(日)」を表すとされており、幸福と財産が重なって縁起が良いという考えや、餅を重ねるのには円満に年を重ねていくといった意味も込められています。
鏡餅の上に乗っている果実の橙はしめ飾りの時と同様に、代々家が繁栄するようにという願いが込められています。
正月飾りは使いまわしてもよいの?
正月飾りの使い回しは、基本的にはNGとされています。
「基本的には」と表現したのは、今は時代の流れとともに少しづつ様々な風習が個人の考えによって変わってきてるので、あまり拘らなくてもよいと考える方も少なくはないからです。
ここでは、正月飾りの使いまわしの是非ついて両方の観点から見ていきましょう。
正月飾りの使いまわしがNGとされる理由
まずはなぜ正月飾りを使いまわすことがNGとされているのか解説いたします。
昔から伝えられている考え方として、歳神様を迎えたり、神様の依り代となる正月飾りでは、1度飾ったものは処分して毎年新しいものを準備するのが良いとされています。
理由としては、古い神具には歳神様は宿らないとされていることや、神様は清浄を第一とする考えがあることから昨年と同じものを使用するのは神様の失礼に当たるとされていることが挙げられます。
毎年準備して処分してしまうことを少しもったいなく感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、新たな1年を過ごすにあたって役割を果たしてくれたと想って処分すると良いのかもしれません。
使い終わった正月飾りは、神社やお寺で行われているどんど焼きと呼ばれる焼却方法で空に帰っていく歳神様と一緒に見送ったり、塩やお酒で清めてから半紙などに包んで燃えるゴミとして処分するのがオススメです。
正月飾りの使いまわしが問題ないされる理由
一方で正月飾りの使いまわしが問題ないとされる意見もあります。
そもそも正月飾りの使いまわしがNGだとされていた理由は、主に信仰的な観点によるものでした。
つまり正月飾りに信仰的なものを求めていない場合には、それらの理由には当てはまりません。
例えば、正月飾りに対して信仰的な意味を持っているというよりも、年に一度のおめでたい雰囲気を味わうインテリアとして楽しんでいる方もいらっしゃると思います。
最近ではインテリアとして楽しむ正月飾りとして、木製やガラスでできた鏡餅やナチュラルカラーのしめ飾りなども販売されています。
ガラスの鏡餅 pic.twitter.com/Rn6uZrAjJe
— 五右ェ門を描くアカウント (@goekakisan) December 29, 2023
そのような場合には毎年新しいものを準備する必要性は少なく感じます。
また近年の傾向として、古くからのしきたりを守ることも重要ですが、個人の価値観も大切にされるようになってきている点も挙げられます。
エコやSDGsが大きく取り上げられる中で、まだ使えるものはなるべく再利用していく事は正月飾りにおいても例外ではないという考え方ですね。
信仰的な面から見ると正月飾りを使いまわすことはNGとされやすいですが、個人の考えや気持ちによる部分もありますので、拘りすぎずに自由な選択を行うのが良いかと思います。
正月飾りを再利用するための保管方法
ここでは正月飾りを再利用するためのそれぞれの保管方法についてご紹介いたします。
門松
造花の門松に限っては、ホコリをきちんとはらったうえで、箱などに入れて風通しの良い日陰に保管するのがよいでしょう。
一方で、生の門松の場合は保管はかなり厳しいです。
植物なので当然水やりが必要になってきますし、生のものを毎年再利用するのはあまり現実的ではありません。
なので、門松の再利用を考えている方は購入時に造花のものを選ぶのがオススメです。
しめ飾り
しめ飾りによく使われている稲わらですが、こちらは保管に注意が必要です。
間違った保管方法をしてしまうとカビが生えたり、虫が湧いてしまって使えなくなってしまう可能性があります。
しめ飾りを保管する際に一番注意しなければならないのは、湿気と虫なのです。
保管方法の手順としては以下のような流れになります。
①まずはしめ飾りについている橙や生け花は外すようにしましょう。
これらはどうしても腐敗してしまうため、再利用することはできません。
②ホコリよけのために布や新聞紙をかぶせます。
ついビニール袋などに入れてしまいがちですが、ビニール袋は湿気を誘う原因になってしまうので、袋に入れるよりも風通しの良い状態を保つほうが良いです。
③乾燥剤や防虫剤を一緒に入れて保管する。
お菓子を買った際についてくるものでも良いので、シリカゲルなどの乾燥剤と防虫剤と一緒に保管しましょう。
梅雨や夏などは湿気がたまりやすくなりますので、わらの隙間にも乾燥剤や防虫剤を挟んでおくとより安心です。
鏡餅
鏡餅に関しては、外側のプラスチック部分になっているタイプのものは特別な保管は必要ありません。
ホコリをはらって、風通しの良い場所に置いておくことで再利用することができるでしょう。
一方で生の鏡餅を使用している場合は再利用は控えましょう。
もし外からの見た目ではあまり変化がなかったとしても、内側から少なからずカビは生えてしまいます。
鏡餅を再利用を考えている方はプラスチック製のものを選ぶようにしましょう。
まとめ
まとめです。
今回は【正月飾りで毎年同じものを使用は良い?ダメ?保管方法も解説】ということで、正月飾りに焦点を当てて解説いたしました。
代表的な正月飾りである門松やしめ飾り、鏡餅を飾るそれぞれの意味では、信仰的な理由や縁起的な理由など多くの意味が存在していました。
また、正月飾りの使いまわしについては信仰的にはNGだという声がある一方で、個人の考えで自由に選択できるという声も広まってきていることが分かりました。
正月飾りの保管方法についても、門松、しめ飾り、鏡餅それぞれの方法をご紹介しましたので、ぜひご参考にしてみてください。
今回の記事は以上になります。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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