金魚が横倒しや逆さまになる『転覆病』とは?治療法も解説!

ある日突然、水槽の金魚が逆さまになって泳いでいたり、変な泳ぎ方をしていたら『転覆病』の可能性があります。

転覆病は、症状が悪化すると完治が難しくなるので、おかしいと感じたらなるべく早急に適切な処置が必要です。

この記事では、金魚の転覆病とその原因や治療方法について解説していきたいと思います。

ぜひ参考にしながら、金魚の回復を目指して下さいね。

金魚の転覆病:転覆病とは?

転覆病はアクアリウム初心者の方などが遭遇しやすい魚の病気の一つです。

水温が低下する冬場に起こりやすく、餌を食べてしばらく経った後などに、金魚の体が横倒しや逆さまになったりする症状が現れます。

どんな種類の金魚でもかかる可能性がありますが、特に体が丸っこい琉金などは転覆病になりやすいです。

転覆病の症状は、初めは軽微ですが、適切な処置を行わないと次第に悪化していきます。

初期の症状は、ふらふらと頼りない泳ぎ方になったり、泳ぎを止めた状態でフワーっと水面に浮かんでいくといった動きをすることがあります。

症状が進むと、体が横倒しや斜め・逆さまの状態のままになったり、あるいは水槽の底に沈んで泳がなくなるなど、明確におかしな挙動が現れます。

転覆病は直ちに金魚が死ぬような病気ではありませんが、そのままにしておくと餌が食べられなくなったり、常に外気に晒されることで細菌感染を起こし、それが原因で死んでしまう可能性が高いです。

そして、症状が進んでしまってからだと完治が難しい病気でもあるため、少しでもおかしな泳ぎ方をしていたらすぐ気づけるように、普段から泳ぎ方をよく観察しておくことが大切だと言えるでしょう。

金魚の転覆病:原因は?

転覆病には、原因が複数あったり、発生のメカニズムが異なる場合があります。

金魚の状態をよく観察したり、これまでの飼育を思い出したりしながら、どの症状や原因が当てはまるか考えてみて下さいね。

水温の低下で消化不良が起きた

金魚は変温動物なので、人間よりも温度の影響を大きく受けます。

したがって、水温が低い環境では代謝が緩慢になり、消化速度が大幅に落ちます。

また、金魚には胃がなく、与えれば与えるだけ食べてしまうため、特に水温が低くなる冬場には餌の消化が追い付かなくなることがよくあります。

そうなると、消化器官内に長時間滞留した未消化の餌がガスを発生しやすくなり、さらに発生したガスが排泄を阻害するという悪循環が生じます。

そして、排出できずに溜まったガスが浮力を生じたり、溜まったフンやガスで膨張した腸が浮き袋を圧迫したりすることで、金魚は姿勢のコントロールができなくなってしまいます。

これが、後天性の転覆病の原因として多く見られるケースです。

餌を変えた時や、餌をあげた後に転覆したのであれば、まずは金魚に消化不良が起きていないか、あるいは水温が低すぎないかなどを確認してみましょう。

また、金魚が消化不良を起こしているサインは、フンにも現れます。

・形状が細く長い(3cm以上)
・色が薄い・白っぽい
・気泡が入っている

金魚がこのようなフンをしていたら、消化不良を疑った方が良いでしょう。

免疫力が落ちて平衡感覚が無くなった

金魚は浮き袋に異常がなくても、平衡感覚を司る神経に異常が生じることで転覆してしまうことが知られています。

病気や寄生虫などによって金魚の体力や免疫力が低下していると、神経障害が起きやすくなるほか、

・水換え
・水温変化
・水質変化(薬浴・塩浴含む)
・過密飼育
・追いかけまわす
・照明のちらつき
・部屋の物音(ドアなど)
・人の気配

こういったことも、神経障害につながるストレスになります。

人間でも、病気などで高熱が出ているとフラフラしたりする症状が現れますが、それと似ているかもしれませんね。

浮き袋や消化器官に異常がないにも関わらず転覆してしまう場合は、金魚に上記のようなストレスがかかっている可能性が考えられます。

金魚の転覆病:対処法は?

金魚が転覆する原因を見極めたら、すぐに適切な処置を行いましょう。

ただし、浮き袋自体が損傷を受けていたり、神経がダメージを受けるほど弱っている場合は、回復が困難なこともありますので、あらかじめ覚えておいて下さいね。

ここでは、消化不良・神経障害のそれぞれに対処する方法について解説していきます。

消化不良であれば一定の加温を

もし、転覆病の原因が消化不良である可能性が高いのであれば、消化が改善する手助けをしてあげましょう。

まずはこれ以上内臓に負担をかけないように、餌は与えず絶食状態にします。

そして、水槽にサーモスタット付きのヒーターを導入し、26℃前後の水温が保たれる環境を作りましょう。

ただし、急激な温度変化は金魚にとってストレスになりますので、1日あたり1℃ずつ(加温であれば半日に1℃ずつでも良い)を目安に、少しずつ水温を調節していきます。

また、水質の悪化も一因となっている可能性がありますので、水換え頻度が落ちている場合は掃除と水換えもしっかり行いましょう。

この状態で3~5日ほど様子を見て、元通りの姿勢で泳げるようになるか確認しましょう。

また、長さが3cm以内でしっかり色がついた健康的なフンを出すようになるかも観察します。

症状がなかなか改善しないようであれば、消化の良い餌に変えてみても良いかもしれません。

また、便秘の症状がある場合は、水槽の2/3の水換えを行って刺激を与えたり、排泄を促すクロレラやスピルリナなどの植物性の餌を与えるのが効果的です。

神経が弱っているなら体力回復を

転覆の原因が浮き袋や消化不良でない場合は、塩浴を行って金魚の免疫力を回復させると改善するかもしれません。

塩浴は、浸透圧の負担が軽くなる塩分0.5%の飼育水で金魚を飼育して、自然治癒力を上げる治療法です。

塩浴用の飼育水は、通常の飼育水10リットルに対して粗塩50gを加えることで作ることができます。

塩分が高い飼育水は痛みやすく管理が大変なので、塩浴専用の容器を別に準備し、同じ水温に調整してから、調子が悪い金魚を移して塩浴を行いましょう。

具体的には、以下の手順で行います。

1.塩浴用の水槽や容器を準備する
2.容器に水温調整した通常の飼育水を半分程度入れる
3.エアレーションは必ずつける(必要に応じてヒーターも)
4.容器に金魚を移す
5.カルキ抜きを行った新しい飼育水を30分~1時間かけて少しずつ入れる
6.飼育水に粗塩を少しずつ溶かしながら様子を見る
7.数時間かけて飼育水の塩分濃度が0.5%になるように調整する
8.1~2日に1回、9割~全量の水換えを塩分調整した飼育水で行う(弱っている場合は毎日2/3の水換え)
9.塩浴の期間は1週間が目安

注意点として、塩浴中は餌を与えないようにしましょう。

餌を与えてしまうと、金魚は消化に体力を使うことになり、回復が妨げられてしまいます。

また、塩浴用の容器は生物濾過機能がない環境なので、水質悪化の懸念もあります。

金魚は2週間程度であれば餌が無くても生きていけますが、治療が長期に渡るのであれば、1日1~2粒程度であれば与えても良いでしょう。

金魚の転覆病:まとめ

いかがだったでしょうか。

金魚の健康状態は泳ぎ方やフンの状態など、様々なところに現れます。

少しでもおかしいと感じたら、なるべく早く対処することが大切になるでしょう。

ぜひ愛情を持って、毎日様子を見守ってあげて下さいね。

今回は、金魚の転覆病とその原因や治療方法について解説させていただきました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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